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ハニードリッパー
【OL/お姉さん 官能小説】

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ハニードリッパー5-3

私は日々、足早に仕事をやっけて、その足でケイジの後を追いかけた。

19時発静岡行きの列車に駆け込むと出張のサラリーマンばかり…
通勤でこんな列車は使わないからだ。

そして私もスーツを来たままだが、私の行き先はあなた達と違うのだ。


そんな事思ってると、私は本当にこれほどまでにケイジが好きなんだろうか?

わずか数日の間でも、ケイジのいなかった日常よりケイジのいる日常が愛しいのは…
私自身がケイジを通して接する彼らの不思議な世界に憧れているだけなんじゃないだろうか?

それとも、ケイジと共に暮らす上でこの数日間は私にとって自分に向きなおる貴重な時間だったんじゃないだろうか、などと独り考えていた。


とにかく…

深夜にはケイジに会えるのだ。



ケイジから知らされた場所までタクシーで乗りつけると、もう真夜中に近かった。

ずいぶん辺鄙な場所ではあるけど平屋建ての民家のように見えた。
最初、間違えてるのかと思いケイジたちが機材を運ぶポンコツトラックを確認するまで少しの間タクシーを待たせておいた。


タクシーが砂利の上をバックで切り返したら、ケイジが暗闇から出迎えてくれた。


外国映画の恋人同士みたいにケイジに飛びついてキスでもしたかったが遠い道のりと得体の知れない困惑でそんなテンションでもなかった。


リタがケイジやケンちゃんたちにすぐに抱きつくのは帰国史女だからだろうか?


[ 荷物ぐらい持ってよ ]

私は甘えた声でいうと、ケイジはああ…とそれこそ海外にでも行くかのようなトランクを持ってくれた。

数日ぶりの再会というのになぜか照れてしまってケイジとの距離が離れて感じられた。

やはりトランクを放り出して抱きついてキスするべきだったのか…



平屋建ての建物は玄関がない。

シャッターのような金属の雨戸が閉めてあってケイジが出て来た縁側の一部分から私は中に入った。


ケンちゃんがよぉ!と顔を出してミキが来たと中に告げた。

板張りの広間には楽器が並べてあってみんなここで練習しているんだなと思った。

私は初めて知ったけれどロックのライブにもちゃんとシナリオがあって舞台の進行ごとに立ち位置が示され、矢印とかアルファベットの略字がこと細かに書かれた紙が貼り付けてあった。


これは私の仕事にも似ていると思った。

スーパーの安売りだって、実は売値と仕入れ値が絡んだ綿密に仕組まれたイベントなのだ。


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