手紙 〜side 恵〜-2
「おい、おまえ、ニラ玉食い過ぎだろ」
「ふぇ？らって、おいひーんらもん！」
「分かったから、口に物入れたまま喋んな」
皿いっぱいあったはずのニラ玉は、ほとんど見当たらない。
ミュウの腹の中に入ってしまったようだ。
「ぷえー！お腹一杯！」
満足そうにお腹をさするミュウ。
…おい、俺は、まだ足りねーよ。
仕方がなく、冷蔵庫に作り置きしておいたかぼちゃの煮付けを出してきて、つまむ。
「恵ちゃん、ごちそうさまっ！今日もおいしかったよ〜」
んー、と、目を瞑りながら、顔を寄せてくるミュウ。
「おまえ、ニラくさっ！」
「むむ。愛しの彼女に失礼だぞ」
「ニラくさ彼女の間違いじゃね？」
「もー！せっかく、感謝のチューしてあげようと思ったのにー」
「…せめて、プリン食ってからにしてくんない？」
「はっ！プリン！プリン食べたら、してもいい？」
「…」
「プリン、プリ〜ン♪どっおして、そっんなーにうっまいかな〜♪」
たぶんミュウ作だと思われるプリンの唄を歌いながら、冷蔵庫へと、スキップしていくミュウ。
こら、お礼のキスはなしかよ。
ミュウにも聞こえるくらいの大きなため息をついてやる。
あんだけニラ玉食っといて、まだ食うのかよ。
おもわず、そう心の中でつっこんでしまった。
ミュウ曰く、愛しのプリンちゃんは、毎日一個は必ず食べているそうだ。
お気に入りは、ぷっちんプリン。
俺の家に来るときは、必ず二つ買ってくる。
毎日といっていいほど、ミュウは俺の家に入り浸っているから、あながち嘘じゃないだろう。
まぁ買ってくる二つの内、一つは俺の分だと言ってはいるが。
だいたいその半分は、ミュウに食べられてしまう。
あいつは食後にプリン、俺は小腹がすく頃、おやつに食うのが原因だ。
プリンを愛するミュウは、もちろん、俺が食ってる時、そのプリン欲しさに、横にへばり付いてくる。
ヒヨコが餌をせがむように、大きな口を開けて、ずっと待ってんだから、やる他、仕方がない。
いっつも思うけど、親鳥が餌やるような感覚だな、あれ。