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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-6

ただそれでも何個か分かったことがある。

それは、多岐野くんにはその外見を越えた“驚き”と知識の“引き出し”が多いということ、彼の“普通”は“普通”じゃないのかもしれないということ、親の転勤のせいで妙なタイミングで編入してしまったということ、意外にも話しやすくユーモアがあるということ、それと間違いなく私らとタメであるということ。

いずれにせよ、多岐野くんは“意外性”の塊だ。



さっきの質問タイムだけでも多岐野くんはかなりクラスに溶け込んだのだが、それと同時に矛盾する形でかなりクラスから浮いてもいる。

不思議な人だなぁ。



「じゃあ多岐野、お前の席はあそこだから。あの一個空いてる机な」

「あ、はい」



気付けば多岐野くんがこっちに接近してきている。
近付けば近付く程に、デカイし細長い…。

そして私の横を通って席に着いた時。

一瞬フワッと、良い香りがした。
優しい、上品な香り。
恐らく、多岐野くんの香水だろう。

これまた意外…。



「あ、お隣に失礼させてもらいます、多岐野鷹丸っす。よろしくお願いします。鷹丸って呼んで下さい」



ついついその香りにうっとりしていると、唐突に話掛けられた。
やはり低い声。



「あ、私は白木救。よろしくね。皆には“すく”って呼ばれてるから、鷹丸くんもそう呼んでね」



自分でも驚くくらい、落ち着いて話せた。

きっと鷹丸くんにはその見た目以上に人を落ち着かせる力があるのかもなー。

なんて。





彼との学校生活は、まだ始まったばかり…。


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