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loop
【幼馴染 官能小説】

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loopV-7

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その日の後半の講義もろくに耳に入らなかった。
由紀は結局来なかったし、祐介はと言うと、午後遅くにやってきて昨日遅くに呼び出された飲み会の愚痴をこぼし、あたしの様子に何か気づいたのか心配されたけれど、何もないよー、と笑って答えた。
自分でこんな時でもよく笑えたな、と感心する。
そしてそれは次の日も同じように繰り返すことができ、その事にとてもほっとして、後で疲れている事に気づいてげんなりした。

何をしているんだろう、と。

三人でいる事はあたしにとって大切な事なのに、由紀に好きだと告げる事も怖くてできない。
由紀の返事次第では、今までの友情関係が全て壊れてしまう。
例え、断られた後「今まで通りにしよう」と言われたとしても、あたしにはそうする自信がなかった。
きっと、あたしは本来そうすることができるタイプのさばさばとした女なのだけれど、なぜか今回は違う。

三人でいる事の友情と、自分の由紀が好きだという気持ちが、頭の中でぐるぐるとまわり、大きく膨らんだかと思うと、ぎゅうぎゅうになって圧迫する。
そしてそれは永久的なループなのではないかと、あたしを絶望的な気分にさせた。





「…あれ、ない。」

鞄の中に手を入れながらがさごそとかき混ぜてみても、携帯電話は見つかることなく、あたしはそこで初めて忘れた事に気づいた。

「え?何が?」

「ケイタイ。講堂かも。」

講堂の前で由紀と別れ、祐介と二人でバス停まで歩いていたのだけれど、最後に携帯電話を使ったのが講堂だったような、と思いながら引き返すことにした。

あれこれと考え事ばかりしていると、こういう事をしてしまうんだと自分に呆れる。
祐介はバイトに間に合わないからと言って先に帰ったので、あたしは一人来た道を戻った。


さっきまでたくさんの生徒がいた講堂は、講義がもうないらしく、閑散としていた。

少し開いた扉から西日のオレンジ色が漏れ出てて、あたしは眩しさに目を細めた。



初めは全く気づかなかった。



夕日のオレンジ色にすっぽりと溶け込んでいて、そこに彼が座っている事に、だいぶ近付いてからやっと気づいた。


「…何してるの?」

あたしが声をかけてから、由紀も初めてこちらに気づいたようで、振り向いた時のいつもと違う表情に、あたしははっとした。

いつも穏やかな彼には似合わない無機質な表情。
いつも周りに誰かいる彼には有り得ない、寄せ付けないオーラがそこにあった。


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