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『It's A Wonderful World』
【コメディ 恋愛小説】

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『It's A Wonderful World 3 』-4

 「ええと、サッカー部のエースストライカーの米原くんと、剣道部主将の神戸先輩と、学年トップの成績を誇る小山内くんとかかな」
 「どこのイケメン☆パラダイスの話だ、それは…」
 どこのどいつってうちの高校でイケメンヒエラルキーの頂点に君臨する方々だった。
 僕のライバルはイケメンヒエラルキーの底辺を固める奴らじゃなかったのか。
 「はい。ここで間違い探しです」
 突然、マサキからのクエスチョン。
 「エースストライカー米原、武道家神戸、インテリ小山内、帰宅部きりやましゅん」
 「なぜに平仮名だ」
 「間違いはどれでしょう!?」
 やばい、コンマ1秒でわかってしまった。
 間違いというか、場違いだ。
 むしろエラーだ。
 いや、ゴミだ。社会のゴミだ。
 ああ、ああああああああああ。
 「僕って、僕って…」
 「シュン!」
 衝撃。
 不意に頬に痛みを感じる。
 あれ、またしても殴られた?
 つうか、やばい。
 膝ががくがくする。
 なんでだ。
 なんでコイツのパンチはこんなにもイタいんだ…!?
 そうか。
 わかった。
 コイツは、マサキは…。
 「手にメリケンサックをはめてるんだ!!!」
 「殴った俺の方が、何倍も痛いんだ、ぜ…?」
 ぐっと涙を堪えるマサキ。
 「ウソをつくな!!!」
 バカだ。こいつもバカだ。
 ていうか、何がしたいんだ。
 「お前がまた弱気になるからだ!!」
 マサキが声を荒げる。
 ていうか、人を2度も殴っておいて、なんで上から目線なのか。
 「シュンよ、再び問う。返答せいっ!」
 「誰だ、お前は」
 「このままでいいのか!?」
 「うっ」
 このまま…?
 僕は本当にいいのか。
 このまま社会のゴミとして、ゴミ収集車に回収されやしないか日々怯え続ける毎日。
 今日は燃えるゴミだ。セーフだ。
 明日は資源ゴミ。再びセーフだ。
 その次は、粗大ゴミか。ぎりぎりセーフ。
 ていうか、僕って何ゴミなんだ。
 はっ!
 生ゴミ!?
 「嫌だ!!! そんなん嫌だ!!!」
 「その目じゃ!!!」
 マサキは叫んだ。
 いつの間にか腕を組んで、仁王立ちしている。
 一体、何になりたいんだこのトゲ頭は。
 「お前がそんな目になる日を待っていた」
 「マサキ…」
 「まあ、真面目な話よ」
 マサキは急に素に戻る。
 というか、今までは真面目じゃなかったと認めた瞬間だった。
 「ぶっちゃお前がいつまでもウジウジしてるのって、無意識に自分が仁美さんに釣り合ってないって思っちゃってるんじゃないの?」
 「たしかに…」
 美の化身のような仁美さん。
 歩く生ゴミな僕。
 釣り合うとかそういう次元じゃないよね…。
 むしろ方向性が違うというか。
 もうどうせ生ゴミならせめて仁美さんの家から出る生ゴミになりたい!
 みたいな。
 あれ、やばい。
 ちょっとかっこいいかも。
 俺はお前の生ゴミだ…。
 なんてニヒルで背徳的な…。


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