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ネコ系女
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ネコ系女 #4-5

【ネコ系女は夜行性】


くれいむの前にタマの姿は見えない。
代わりに男の人が一人、紐で繋がれた何かと一緒に立っていた。
パーマ掛かった明るい茶色の髪。くすんだ青いシャツを羽織ってインナーは白のTシャツらしい。それに濃い緑の薄地のストール
カーキ色のパンツをブーツインして。顔はよく分かんないけど、あの人…カッコイイかも…。


【ネコ系女は目が悪くても何故か見えちゃう時がある】


目が良ければもう少しハッキリ見えるのに。
あ?あ、タマもあんぐらいおしゃれで格好良ければなぁ。
…ん!?

「ぅあー、ケーキ屋さん!おはようっ」

…んんっ!?
あの人って、ん、あれ?
近付くにつれて輪郭がハッキリしてくる。

「タマ!?」

私はタマを指差した。
タマは不思議そうに首を傾げると

「そうだよ」

と笑った。
その笑顔に私の中の何かの線がプツンと弾けた。

「…あのさ、どうしたの?完全に別人だよね?」

頭で考えるより先に口が動く。脳から体全体に『動揺を悟られるな』と信号が送られているらしい。

「ホント、何なの、あんた。昨日と全然違うじゃん。その変身ぶり何?」

とりあえず、気にくわなかった。

「なんか…なんか無性にムカツク!」

タマがじゃない。私が、だ。
この私が!
タマごときを!
カッコイイと思ってしまうなんて!笑顔にときめいてしまうなんて!


【ネコ系女はプライド高い】


【ネコ系女は素直じゃない】


八つ当たりなのは重々承知している。
私の攻撃にタマはしょぼんとして

「な、う、今日はケーキ屋さんとデートだから…俺たちすっげえカッコつけようと思って…」

ね?
と、しゃがんでネコいや、ノエルに相槌を求める。
ノエルの首には革の立派な首輪が付いていた。見せつけるように一度、私に向かって胸を張るとササッとタマの陰に隠れた。

「…ほう。このクソネコ、私に自慢してるって訳。全っ然羨ましくないし」

「え?」

「…何でもない」

タマは不思議そうに私を見上げた。
いけないいけない。タマの前だとつい本音と本性が出てしまう。
気を付けないと…。


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