投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ネコ系女
【その他 恋愛小説】

ネコ系女の最初へ ネコ系女 22 ネコ系女 24 ネコ系女の最後へ

ネコ系女 #4-4

「だよな。さすが朝希ちゃん!もっと切れだの、イメージと違うだの知らねっつんだよ」

「…!美容師ってすごい仕事だと思うよ、私は」

思い出したっ。
すると顎髭は私に

「ありがとう。優しいな、朝希ちゃんは」

と笑顔を向けた。
ふう。何とか切り抜けた。

「あ、そういえば友達待たせてるんだっけ?」

「ん。そう」

ちらりと姫代を盗み見るとストローを口にくわえて、暇そうにボーッと宙を仰いでいた。抹茶オレは既に無くなっている。

「へぇ、あの子?結構カワイイじゃん。今度さ、俺もツレ連れてくっから四人で遊ばない?」

慣れたようにそう言う顎髭を見上げた。どう?と首を傾げる。
私は少し考えるフリをして

「いいけど…。私はアツシ君と二人でもいいな…」

と得意の上目使いをした。
顎髭はニンマリとして、テーブルの上に置かれていたケータイを手に持った。

「…教えて?」

私も微笑んでケータイを取り出した。




その日の夜。
案の定、顎髭から遊びに行こうとメールが来た。
ただ、顎髭が指定してきたのは来週の水曜日。
タマの顔が頭をよぎったが、そのままヒュンと通り過ぎた。
ソッコーOKの返信。
タマとは早目に切り上げよっと…。
てことで、私達は夕方から遊ぶ約束をしたのだった。


【ネコ系女は薄情】




そして一週間後。
私はくれいむに向かって歩いていた。手にはジャケット(クリーニング済)を持ち、財布には三千円が別にされて入っている。
ちなみにタマは昨日まで、毎日欠かさずくれいむへ通った。
確か昨日はシュークリームとマンゴーのジュレを買っていただいた。毎日毎日、売上貢献ありがたい。
姫代とはすっかり顔馴染みになり、姫代は更にタマを勧めるようになった。

「タマさんいいよ!朝希!絶対タマさんいいよ!」

昨日の帰り道に姫代は興奮気味にそう言った。そして

「明日楽しみだね。頑張ってね!」

とも言った。
残念ながら楽しみでもないし、何も頑張らない。ごめんよ、姫代。
私、気合いは今日の夜まで取っとくって決めてるから。


ネコ系女の最初へ ネコ系女 22 ネコ系女 24 ネコ系女の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前