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小悪魔たちに花束を
【学園物 官能小説】

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小悪魔たちに花束を【新天地編】第一章 晴嵐編入(前編)-4

 父さんから渡されたパンフレットに書かれてたんだろうけど、実際そんな物見る気になんて、なれなかった。
 女子校ならどこだって良かったんだ。
 女子校を選んだのも、『元の同性からそう言う目で見られたくない』
 単にそれだけだったから。
 
「水着ぐらい、購買部に行きゃ、あるんじゃねぇか?」
 ボクはその声に振り向く。
 そこにはボブカットの女の子が面倒くさそうに、でも颯爽とした足取りでこっちに近付いてくる。
 身長は当然ボクより高い。
 男っぽい口調とは裏腹に、女の子ぽくて綺麗な顔立ちをしてる。
 話し方に顔は関係ないか。
「ちょっと圭ちゃん、バラすの早すぎ〜ぃ」
「そ〜よお。もーちょっと、この娘の困ったかわいい顔を見てたかったのにい」
「……………。
 はい!?」
「もしかしてボク、からかわれてたの……?」
 ボクは一気に疲れて、がっくりと肩を落とす。
「あ、でも水着って、いくら位するのかな?」
「いったい、いくら持ってきてんだよ?」


 圭ちゃんって呼ばれてた女の子に聞かれて、財布をカバンから取り出して確認してみた。
「鳴海、だっけ?
 まるで男みてぇな財布持ってんな?」
 
 ギクっ
 
「そ、そう?
 ってか、そーかも……」
 少しおたおたしながら、中身を数える。
「これくらいしか無いけど、足りるかな?」
 ボクは圭さんに尋ねてみた。
「さぁな。
 行ってみなきゃ分かんねぇよ、そんなもん」
 彼女は、スタスタと教室の入り口に向かう。
 
 ……………。
 
「なにしてんだよ?
 水着、買いに行くんだろ?」
「え?え?」
 急に振り向いてそんなことを言う、彼女の言葉の意味に気が付かなくて、ボクは狼狽(うろた)える。
「しょうがねぇ奴だな……」
 彼女はもう一度近付いてきて、ボクの手を取り引っ張っていく。
「うあっ!?」
 ボクは顔が赤くなってないかって心配しながら、黙って彼女のされるがままに付いて行く。
「あ、アタシも付いてくね〜ぇ」
 ボクと同じ長さにした髪型の女の子が走りよって来る。
 その娘を良く見ると最初に、ボクに声をかけてきた娘だった。
 その娘も結構、良いセンいってた。
 プロポーションもなかなかの物だと思う。
 軽い雰囲気を持ってて、穿いてるスカートもかなり短くしてる。
『ってか、それってちょっと屈んだら見えるんじゃあ……?』
「よろしくね〜ぇ」
 その娘はボクに近付いてきたら、『したっ』と片手を真っ直ぐに突き出して、挨拶をしてきた。
 
『鳴海さん、また後でね〜』
 後ろから聞こえてくる新しいクラスメイト達の声に、ボクは戸惑う。
「あの連中の言う事を、いちいちまともに聞かねぇ方が良いぜ」
「そ、そうみたいだ、ね……。
 さっきの勢いにはちょっと付いていけなかったよ」
「でも皆、い〜娘(こ)たちだよ〜ぉ」
「まぁ、それは俺も否定しねぇけどよ」
 ボクの手を引っ張ってる人は、軽く肩をすくめてそう言ったあと、一緒についてきてくれた人の、名前を教えてくれる。
「オレは久石圭子(ひさいしけいこ)ってんだ。
 んで、オマエの隣のが山岸愛(やまぎしあい)。
 それと後ろのが三里悠麻(みさとゆま)」
 そっか、圭さんじゃなくって、圭子さんって言うんだ。
 ………て。
「……後ろ?」
 首を傾げたあと、ボクは後ろを振り返る。
 
 そこにはいつの間にか、髪を肩よりも長く伸ばした女の子が付いて来てた。
 ずいぶん物静かで、どこか神秘的な雰囲気を感じさせる人だった。
 身に付けてる制服が、まるでその人のために造られたみたいに完璧に着こなしてて、そこに一つの模範が、この世に現れてた。
 クラスで美人コンテストを開いたら、この三人がトップスリーになるんじゃないかって、思う。
 
「みんな、よ、よろしく……」
 ボクは遠慮がちに会釈すると、後ろの女の子は声に出す代わりに、片手をあげた。
「よろしくな」
「こっちも、よろしくね〜ぇ」
 久石さんと山岸さんも、笑顔を向けて返事を返してきた。


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