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エリザベス・悲劇の人形たち
【ファンタジー その他小説】

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エリザベス・悲劇の人形たちX-5

 就寝時間になって、子供人形たちは素っ裸のままケースの中に入った。

 整然と並んだ状態で横になるのだ。

 掛け布団の枕は1つずつ揃っている。

 エリザベスママがいつものように、子守歌を歌うと子供人形は早くもスヤスヤと眠った。

 クゥー、クゥー

 満足気の子供人形たちの安らかな寝息である。


 本物のエリザベスの方は檻の中に入ったまま。

 少量の肉スープだけの夕食を取ったばかりだ。

 黒焦げキディの方はかなり、落ち着いて来ている。

 全く何も食べてはいないキディだが、空腹は感じてはいなかった。

 今丁度、エリザベスママのオッパイを吸っている最中。

 実は、母乳が出ているのだ。

 何故、出るようになったかは謎だが…

 キディにとっては、この上ない喜びだろう。

「キディ? キディ?」

「ヒャー?」

 ママの呼びかけにキディは辺りをキョロキョロした。

 両目まで焼かれているので、全く見えない。

 再度、ママが声をかけるとキディは顔上げた。

「美味シイ?」

 ママの問いかけにキディは嬉しそうな表情で
「ホイヒィ(美味しい)」と答えた。

 ちゅぷちゅぷちゅぷ

 エリザベスママの懐に抱かれ…

 美味しそうに母乳を飲み続けるキディ。


 優しいエリザベスママのオッパイから出る初めてのミルク。

 甘くて、すっごく美味しい。

 ミルクを飲む飲む。

 キディ、幸せ。

 とっても満足。

 ママ、大好き。

「ヒャヒャ…ホアフイ…ヒャヒャイ…」

 …ママ、おやすみなさい。…

 美味しいミルクをお腹いっぱい飲んで満足したのだろうか?

 キディもスヤスヤと眠りに入った。

 その場でオシッコを漏らしてしまったけど…

 エリザベスママは何もせずジッとしている。

「可愛イ、キディ」

 優しい表情のエリザベスママ。


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