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さよならのラララ
【その他 官能小説】

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さよならのラララ-3

「ちゅう、すごい。もえこはきみのちゅうだけでどうにかなっちまいそうでした」

「アホかお前……」


 そういう可愛い顔でばかみたいに可愛いことを言うのはやめてほしい。狙ってんのかと思う。思いながら、そんなわけないとも知っている。

 嘘が嫌いだといつか言っていた。嘘をつくのもつかれるのも嫌なのだという。もはや嫌いという程度ではないくらいに嫌い、らしい。十数年の人生のその多くを病室で過ごしてきたもえこにとって、相手に言われる言葉がその全てなのだ。それが本当かどうかを確かめるすべはない。信じて裏切られるのがつらいのは誰だって同じだ、だから、もえこは嘘を嫌う。疑うのは体力をつかうし、と言う。俺はそんなもえこの言葉を聞いて、こいつは今までどれだけの気休めや無責任な応援に苦しんできたのだろうかと思う。相手の真意を疑って、疑う自分に嫌気がさして、疲れて。そうして今ここにいるもえこは、優しい嘘をつかないもえこは、どんなにか健気で愛おしい生き物だろうか。

 もう一言何か言おうと開いたもえこの口をまた塞ぐ。塞いで、何もいえないようにしてから、俺はその小振りな胸に触れる。お世辞にもでかいとは言えないそれ。そっと触れた手に伝わるのは布の向こうの下着の固さと、その向こうのふくらみの柔らかさだ。弾力をふくんだそれの感触が面白くてふにふにと手のひら全体でもんでみる。もえこはびくりと体を震わせて、何か言いたげにその手が俺の腕をつかんだ。
 何も言わせてやるもんか。
 塞いだままの唇をさらに強く押しつけた。鼻先から漏れる甘い吐息が俺に当たって、生ぬるいそれがいやらしい。熱いよりも冷たいよりも、温いってやらしいと思う。ほんとに。


「け……たくん、ねえ」

「うるさい」

「ねえ、ねえねえ、聞いていい?」

「ダメ」

「なんで……あっ、やぁ」


 息継ぎのために一度離した唇からこぼれる言葉がうるさい。それを黙らせるためにするりと手を布の中に侵入させて、そこにあったブラジャーをも押し上げて、胸の先端をきゅっとつまんだ。そうしたらぴたりと言葉は止んで、代わりに意味のないあえぎ声がもえこの唇を揺らした。
 そっちのほうが、ずっといい。


「もえこ、そこ座って」


 一度もえこの体から手を離して上着を脱いで、木製のベンチにそれを敷く。そこに横向きにしてもえこを座らせた。気休めにしかならないだろうし、俺自身寒いのだけれど、まあないよりはマシだろう。
 もえこは恐る恐るといった様子でそこに腰掛け、そして俺を見上げてくる。次の指示を待つその少し不安そうな、けれど従順な瞳が、歩き始めの子犬を思わせた。少し乱れた服の向こうでもえこの動悸がどんなにか激しいだろうかと思うと、俺もまた胸が波打つのが分かる。緊張ってうつるんだろうか。


「けーたくん、ねえ、お願いだから一つだけ聞かせて」


 あんまり深刻そうな顔で言ってくるから、何事かと思って続きを促す。


「あえぎごえは出した方が、燃える?」


 なめんなよ、こんにゃろう。


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