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熊野の熱い夏
【フェチ/マニア 官能小説】

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熊野の熱い夏-2

 ドン、ドン、ドン。なんだろう、こんな朝に。私は時計を見た。ヤバッ、もう9時回ってるじゃんよ。「カオリ、早く起きなよ、ヤバイって!」「ギッ、ちょっと待ってよ、ジュンコ。ともかく戸を開けなきゃ」。そこには体格のいい男性が立っていた。「もうみんなホールに集まってるぞ」「はい、すぐに行きます」「待て! その前に塾長の部屋に行ってこい!」「じゅ、塾長の部屋に行かなきゃいけないんですか?」「いいから早く行けって」。男性は口答えするカオリのお尻をぽーんと叩いて私たちを追い立てた。
 ドアをノックして、恐る恐る塾長の部屋に入る。私たちは並んで直立不動になった。コワイよー。「お前ら、物見遊山か。いますぐ荷物まとめて東京へ帰れ」。静かだが、断固とした口調で塾長が行った。「申し訳、ありませんでした。あたしたち、ここで引き返すわけにいかないんです。どんな罰でも受けます!」。カオリは必死だった。私も続かなきゃいけない。「お願いします!」。そう言って深く頭を下げた。塾長はしばし黙っていた。「よし、眼をつぶれ」。これは殴られるなと思った。言われた通りするしかない。バシッ! 何か肉を叩くような凄い音がした。バシッ! その瞬間、私のお尻に焼け火箸でも当てられたような痛みと強い衝撃を感じた。私はお尻に手の甲を当てて、隣のカオリを見た。カオリも同じように手の甲をお尻に当てている。塾長の手には太い竹刀が握られていた。
「ここから神社まで2往復、罰走だ。ノルマは20分以内、早く行け!」「はい!」。私もカオリも寝起き、Tシャツ短パン姿で朝の山道に飛び出した。

 

「イッテーなあ、畜生」「だからカオリに言ったじゃん、ここの合宿は鬼の合宿なんだって」「あたしたち、最悪じゃねーの? 初日から寝坊こくなんて」「第一印象、最悪だわ」。ブツブツ文句言ってる暇はない。10分で1往復しないとノルマをこなせない。だが、起伏の大きい山道に私は手こずった。「ジュンコ、大丈夫か?」「カオリ、先行って。あたし、ヤバイかも」「何言ってんの、一緒に行こうよ」「でも二人でお手々繋いで帰ったら百倍怒られるかもよ」。カオリは心配そうに私を見ていたが、先に行くしかなかった。「ジュンコ、絶対遅れるなよ!」。
 私は必死に走ったが、タイムオーバーだった。玄関先にさっきの竹刀を手に塾長が立っている。その向こうに合宿に参加する学生達の姿が見えた。「5分オーバーだ。もう1往復するか? それとも竹刀か? 好きな方を選べ」「す、好きな方ですか? ……もう罰走はキツイです」「わかった、その下駄箱に手をつけ!」。他の学生の視線は気になったが、もう恥も外聞もない。一発我慢してしまえば終わりだ。バシッ! 1発目とほとんど同じ、お尻の真ん中に当たった。なんだかさっきより痛みが増したような気がした。

 60人ほどの学生がこの合宿に参加していた。みんな若い。それに驚いたのは、全体の4分の3が女子だったことだ。昨今の舞踏ブームの影響だろうか。あんまり鍛えられてるっぽい学生はいないな。この子達、どれだけ耐えられるんだろう。ふと見渡すと、一人だけ知ってる顔がいる。T大のミキだ。ミキは舞踊科の2年生。T大にはレイコ先生と同門のユキ先生がいて、T大の学生とはワークショップなどで顔を合わせる機会が多かった。「ジュンコ先輩、よく竹刀の方選びましたね」「あたしたちはねえ、ミキちゃん達とは鍛え方が違うのよ。イテ」。そう言いながらお尻を手のひらでさすると、ミキと隣にいた女子学生は下を向いて笑いを噛み殺すようにしていた。
 午前中にオリエンテーションがあり、待ちに待ったお昼の時間がきた。私たちは4人掛けのテーブル席に座った。私、カオリ、ミキ、そしてさっき下を向いて私を笑っていた子だ。その子はW大1年で演劇を学ぶトモコだった。「えっ? カオリ先輩もやられたんですか?」「あたしが1発、ジュンコが2発、嵐の船出だわ」「でも初日に寝坊なんてめちゃくちゃ印象悪いっよ」「わかってるわよー!」。カオリがいかにもうるさそうに言った。「あなた、トモコちゃんって言うの? この合宿大丈夫かな」。私が言うとミキが返した。「この子、舞踊の知識ハンパじゃないですよ。学生募集の張り紙見ていてもたってもいられなかったんだって」「お二人、見ましたよ。去年の現代舞踊フェスで。カッコよかったです」「でもトモコちゃん、あたしやカオリは純粋体育会系だからねえ。竹刀もお尻に飛んでくるよ」「頑張ります!」。それからいろいろ話してみると確かによく勉強している。カオリが私の方を見て言った。「あたしたち、大学で何勉強してたんだろうね」。

 午後からいよいよ稽古が始まった。ここで学生達が震え上がるようなことがいきなり起こった。動きの緩慢だった男子学生の頬に、いきなり塾長の強烈な張り手が炸裂して学生は吹っ飛んだ。緊張感が稽古場にみなぎった。結局この日の犠牲者はこの男子学生とカオリ、私の3人だった。


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