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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-3

**――**

 桜蘭高校の家庭科教師である平山愛理は、里美の告発に目を丸くして驚いた。
 そういう年頃であるとはいえ、部室で女子の衣類片手に男子が自慰行為に耽っているなど、信じられない。そんな表情で。
 愛理は教育系の女子大学を出てすぐに教員となったせいか、あまり世の中を詳しく知っているほうではない。加えて中学高校も女子校であったせいか、男子の性徴というものに疎い。思春期の自慰行為についても、表面的な知識しかなかった。
 だからだろうか、証拠であるカピカピのスパッツを見てもいまひとつ理解が遅かった。
 ――これだからお嬢様は……。
 選択科目で技術を選んでいる里美は、愛理との付き合いは部活のときだけだが、世間とのずれっぷりは級友から聞き及んでいる。
 被服の授業ではヌイグルミを作り、調理の授業ではケーキを作る。育児の授業では姪の近況報告をしてみたりと、頭の痛いことを披露していたり。
 見た目もフリルのついたスカートにブラウスという、少女趣味丸出しのセンスであり、部活の試合の際は父兄と間違えられたほどだ。
 そして……、
「でもぉ、本当に男の子達、そんなことしてるのぉ?」
 間延びした喋り方。
 一部の男子には人気があるらしいが、その可愛い子ぶりっこした喋り方は同性からしてみれば、癇に障る音質でしかない。嫁き遅れと囁かれる学年主任の市原和子にも目をつけられていたのも頷けるという話だ。
「だって先生、これ精子でしょ?」
「きゃ、そんなこと、ハズかしいよ……」
 精子と聞いただけでも赤面して顔を覆う愛理に、里美は苦い気持ちになれる。今年で二十五になるハズの彼女なのに、今だ生娘という噂があるのはこのせいだろうか?
「いいですか。もしこれを放置しておいたらきっと問題になりますよ? ただでさえ部室に変な匂いがするのに、もしこれが市原先生に知られたら……」
「え、主任に知られちゃうの? それは困るわ。だって、また始末書かかないといけ
ないもの……」
 市原女史は最近もまたお見合いを断られたらしく、眉間の皺が微妙に深くなっている。もし、部室での一件が公になれば、ここぞとばかりに憂さ晴らしをされてしまうのではないか? そんな不安が、愛理の中で膨らんでいく。
「でも、どうしよう。呼びつけて聞いたほうがいいかな?」
「ダメです。それじゃあしらばっくれます。こんなときは現行犯で逮捕するのが一番です」
「そうね、その通りだわ。よし、それじゃあ現場に張り込みましょう」
 勇ましく胸を叩いて断言する里美に、愛理は立場も忘れて従ってしまった。


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