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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - 希望的観測 --9

「うー・・・・いや」
ようやく回復したのか、立ち上がるコタロー。
「俺もキャッチボールしてから帰るわ」
「はあ?」
思いもしなかった発言に、眉を潜める。
「なに?」
―なにって・・・。
「いや・・あんたとカイトがキャッチボールとか珍しいから・・・」
「つかまぁ、普段キャッチボールなんかせんしな」
「それもそうやし、そもそもカイトは―」
「ん?」
言いながらカイトの方を見ると、既にコタローに向かってボールを投げる体勢に入っていた。
・・・・。
―まぁ、別にいいけど。
「遅くならん内に帰れよ」
「ほいほーい」
カイトの方に寄っていくコタローを見てから、出口に向かって歩いていく。
「さて・・・」
2人のことは思考から追い出し、クリームシチューだけって訳にもいかないので、付け合わせに何を作るか考えながら帰り途に着いた。

・・・・・。

―カリカリカリ。
「・・・」
テスト初日。
3限目の最中。
科目は英語。
「んー・・・・」
始まってから20分程経っている訳だけど、答案用紙はまだ半分程度しか埋まってていない。
―気分悪・・・・。
どうも、さっきから調子が悪い。
腹が痛いような、頭が痛いような・・。
心なしか鼓動も早くなっている。
緊張、とはまた違う。
指先が少し冷たい感じがする。
―ちょいマズいな・・。
この時間が終わってしまえばそのまま帰れるから耐えようと思っていたけど、どうも保ちそうにない気がしてきた。
―しゃーない。
「・・せんせ」
言って、手を上げる。
「ん?」
教壇の横で椅子に座っていた監督の先生が近寄ってくる。
「どした?」
「ちょっと、気分悪くて・・」
言った自分の声に力がないことに気付く。
「確かに顔色悪いな」
顔を覗き込まれる。
「保健室行く?」
その言葉に無言で頷く。
「テストだけ回収するから、ちょっと待ってや」
もう一度頷き、次を待つ。
「1人で行けるか?」
用紙を教卓に回収した後そう言われ、それにもそのまま頷いて机に手をつく。
「ん・・・」
立ち上がると、身体が宙に浮いた感じがした。
取り敢えず教室の後ろまで歩いていき、ドアに手をかける。
―あれ?
吐き気を感じた。
いきなり音が無くなり、視界が黒く染まる。
次に感じたのは、周りの雑音。
口々になにかを言うクラスメートの声。
視界が戻ってくる。
天井が見える。
上なんか向いてたっけ?と思い、いつもより天井が遠いことに気付く。
コタローの顔が見えた気がした。

・・・・・。


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