投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ネコ系女
【その他 恋愛小説】

ネコ系女の最初へ ネコ系女 8 ネコ系女 10 ネコ系女の最後へ

ネコ系女 #2-3

「俺、オキタマオです!」

「タマオ?」

「いやいや違う違う!オキタ・マオ。海の沖に田んぼの田。写真の真に中央の央で真央」

聞いても無いのにペラペラと隣でタマは話していた。何度聞いても紛らわしい名前だと思った。
彼はどうやら周りにタマと呼ばれているらしく、私も心の中でそう呼ばせてもらうことにした。

「ふーん」

私は頬杖を付き、ちびちびとお酒を飲みながら彼の話を聞いていた。最も耳に入っては流れていく、という状態だけど。

「何かさやっぱり私服だと雰囲気違うんだね。俺絶対ケーキ屋さん年上だと思ったもんなぁ!」

びっくりなことにタマと私は同い年。今年の春に短大を卒業して、今はどっかに就職したとか何とか言っていた気がする。
私だってあんたは年下だと思ってたっつーの。

「そ」

「大人っぽいつうかさ、落ち着いてるっつうかさ」

ふん、どっちでもいいって。フケてるって言いたいの?
私はまた一口お酒を飲んだ。


【ネコ系女は結構酒に強い】


合コン恒例の席替えで私はタマの隣になってしまったのだ。
「俺ここにしよーっと」といち早く私の隣をゲットしやがった。顎髭がそれを阻止しようとしていたが、タマは頑として譲る気は無く、泣く泣く顎髭は私の向かい側に座った。
私は顎髭とポツリポツリと会話をして、タマには適当に相槌を打つ。
それでもタマは目を輝かせながらペラペラと話していた。

「昼間に貰ったネコさ、オスだったんだ!」

知らないうちにそんな話になっていたのか。

「あ、そう」

オスなんだ。てっきりメスだと思ってた。
男好きのホモネコか…。

「でね、お姉さんに名前を決めてもらおうと思って」

「は?」

私はついタマの方に顔を向けてしまった。

「何で私が…」

「だって俺ネーミングセンスとか無いしぃ、お願いします!」

確かにネーミングセンスは無さそう。
でも私がきったないネコの名前を付ける義理はない。だってあのネコ、あれに似てるんだもん。
加納さんが作るケーキでも唯一好きになれないものがある。
クリスマスになると毎年ショーケースに並ぶ地味なケーキ。由来が"切り株"っていうのも何となくいや。
チョコクリームの上に振り掛けるココアパウダーが、あのネコの体に付いた泥のようで。


ネコ系女の最初へ ネコ系女 8 ネコ系女 10 ネコ系女の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前