投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ネコ系女
【その他 恋愛小説】

ネコ系女の最初へ ネコ系女 7 ネコ系女 9 ネコ系女の最後へ

ネコ系女 #2-2

「うん。実はね、あんま好きじゃない」

「じゃあ他の頼めば?」

「そうしようかな。これ、さげてもらお」

「ああ、いいよいいよ。俺が代わりに飲もうか?」

よし、来た。
私はにっこりと満面の笑みを浮かべた。

「本当?ありがとう」

嫌いな奴の飲み残しなんて飲みたくない。ということは、逆に考えればこいつは私に少しでも気がある。
たまにただのケチ臭い奴もいるけれど、この顎髭は違う。

「おっ、今日は飲むな〜。カァッコいい!」

顎髭の隣にいるサーファー風の男が囃し立てた。
髪が染めすぎて痛んでいるから、あだ名は枝毛でいいや。


【ネコ系女は心の中で全く別のことを考えられる】


「私、お酒強い人好きーっ!」

「まじで?なら、カッコいいとこ見せなきゃな」

顎髭ははっはっはと笑った。その時点でカッコ悪いと思いながら、私も少し笑ってあげた。
全体的にモノトーンでまとめていて、高い身長、細いけど引き締まった体格によく似合っている。自分に合う格好が分かってるんだろう。顎髭は八十二点。
枝毛は…十五点。
とりあえずチャラチャラしていて目障り。

「朝希ちゃんどれ飲むの?」

「んー、カクテルがいい」

「じゃあカシオレなんてどう?」

「イヤ。普通過ぎる」

「ソルティードッグは?」

「やだ。綺麗なのがいいな」

「えっと、じゃあ…チャイナブルー!」

「あ、それいいね!頼んでくれる?」

私はにっこりと顎髭に笑い掛けた。
オッケー、と頷いて顎髭は店員さんを呼び私のカクテルを注文してくれた。

「ありがとうございます♪」

お得意の営業スマイル。その時だった。

「ぁあっ!分かったっ!」

私の視界の片隅で何かが大声を出した。
私の向かい側にいた、存在感を全く漂わせなかった男が一気に視線を集めた。
私も例外ではなく、ビクッと体を跳ねさせて改めて彼を見た。
癖毛だかパーマだか分からない半端くさい髪にやや白い肌。普通の白いシャツにグリーンのチェックのストールを巻いていて、ニコニコと楽しそうに笑っている。その笑顔は何だか目出度い。

「どうしたんだよ、タマ」

タマと呼ばれたネコみたいな名前の彼…ん?ネコ?
私の脳裏に今日の出来事がフラッシュバックされた。

「…あ」

「ケーキ屋さんのお姉さんだ!!あースッキリした!!」

すっかり忘れていた。この人、昼間のネコの人だ…。


ネコ系女の最初へ ネコ系女 7 ネコ系女 9 ネコ系女の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前