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恋愛の神様
【ファンタジー 恋愛小説】

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恋愛の神様・後編-2

登校途中祐希に会えるのが毎日の日課で朝の楽しみ。なのに、今朝の祐希はとっくに登校済みだった。
こんなに早く教室にいるなんて珍しい。

「おはよー、祐希」

いつも通り声を掛けた、のに…

「…っ」

露骨に目を逸らして、足早にその場から立ち去って行く。
祐希…?
何、今の。まるで――

「やーっぱり喧嘩したんじゃん」

背後から八代の声。

「…」

あたし、祐希に避けられたの?

ショック過ぎて後ろのバカに言い返す気にもなれない。

「協力してやろうか」
「…何の?」
「仲直り」

そこへ始業のチャイムが鳴り響く。
みんながだらだら席に着く中に祐希もいた。
下を向いて、何だか元気がない。

胸が痛い。

祐希にはいつでも元気に笑っててほしいのに。
悲しい顔は見たくない。
曇った目は見たくない。

瞬間、昨日の祐希の表情がフラッシュバックする。

『あたしも八代が好き』

嘘をついたあたしを見る悲しそうな目。
見たくないと思ってた顔にしたのはあたしだ。
祐希を取られたくないという薄汚い独占欲が、結果的に祐希を傷付けた。
しょうがないじゃん。
そうするしかなかったんだもん。そうするしか―――



結局一言も言葉を交わさずにその日は終わり、まるで逃げるように帰ろうとする祐希に八代が声を掛けてるのが見えた。

「実果ー」

そして今度はあたしを呼んだ。

「今から美味いもん食わしてやるよ」

そう言って手招きする。
よくは分からないけど、祐希が一緒なら行きたい。こんな状態で一日を終えるなんて嫌だもん。
祐希に避けられたままなんて嫌。


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