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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来3-4

***

明後日はバレンタインデー。

去年までは、聖のためだけのイベントだった。
毎年、それなりに凝ったチョコを、時間をかけて作って渡していた。
その余った材料でクラスメイトの女子に友チョコとしてあげる。2月14日はそんな日だった。

でも、今年は話が違う。

今年は聖に渡すのはやめたほうがいいのだろうか。


佐山さん。

あのとき体育祭の日に話したときの目が今も忘れられない。

聖は普段、佐山さんとどんな風に過ごしているのだろうか。

聖は笑えているだろうか。

聖は佐山さんと…ちゃんと愛し合えているだろうか。

そんなことぼんやりと考えながら材料を買いに出かけた。


マンションから徒歩五分ほどの距離にあるスーパーで生クリームやチョコレートを購入する。

今年は生チョコでいいや。

渡すかどうか迷っていると、どうしても投げやりになる。


材料を一通りカゴに入れてレジを通し、持参したエコバッグに適当に詰めていると後ろから声をかけられた。

「憂ちゃん」
「あ、おばさん」

振り返り顔を見ると、聖のお母さんだった。どうやら夕飯の買い物をしていたようだ。
おばさんはニコニコと笑顔であたしを見ている。

それを見て、なんだか少しだけ悲しくなった。


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