投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

憂と聖と過去と未来の最初へ 憂と聖と過去と未来 31 憂と聖と過去と未来 33 憂と聖と過去と未来の最後へ

憂と聖と過去と未来3-10

***

あたしはチャイムと同時に制服を脱いだ。
一瞬、近くの席に座っているクラスメイトが驚いて声をあげたが、下が体操着だと気付くとすぐにまた静かになる。
グループの子に先に行くと伝えて、あたしは急いで教室を出た。

チョコは授業に持参する体育館シューズ入れに前もって隠しておいたので抜かりはない。

あ、ごめん、聖。

一言だけ頭の中で聖に謝ると、走って二組の教室に向かう。


一直線の廊下なので、すぐにたどり着いた。
目立たないように教室を覗くと、聖はいない。
もう自動販売機の所へ向かったらしい。

急いで階段近くの自動販売機へ向かった。


「はぁ…はぁ…いた」

幸い、周りに人はいない。
聖は自動販売機の前に立ってボタンを押している。

もう…後ろ姿さえも愛おしい。
見慣れた背中に飛びつきたかった。

「聖っ!」
あたしの声を聞いて、聖がゆっくり振り返る。
「…憂」

学校で普通に話しかけられたのが意外だったのだろう。
ひどく驚いた顔をしている。
当然のように、困った顔もしているように見えた。
「……お前は声がでかい」
「……あはは」
「…どうしたんだ?体育の前みたいだけど、もう息切らして」
「ちょっと、ね」
「…急がないと体育、間に合わないぞ」
「うん、あのね、はい!これ!」
あたしは体育館シューズの袋から包みを取り出した。
「うわっお前!汚いだろ!」
さすがの聖もこれには動揺したのか、大きな声を出した。
「ちゃんと保冷剤入れてあるから、しばらくは保つと思う」
「……作ったのか?」
「うん、今年は迷ったから…簡単だけど」
「…そうか、ありがとう」

この言葉を待っていた。
ずっと、聖のその優しい声で言われるのを。
だから、やっぱり作った。

「じゃあ、またね」
さすがに時間がないのでそれだけ言って振り返る。
「……大切に食うな」
聖の声を背中に受ける。
なんだか努力を後押しされた感じがした。
「うん!」
あたしはそのまま走って体育館へと向かった。


憂と聖と過去と未来の最初へ 憂と聖と過去と未来 31 憂と聖と過去と未来 33 憂と聖と過去と未来の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前