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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉後編-9

迫り来る終焉を目の前にして、全てを清算しなければいけない。

レプリカは視線をカルサの方に戻した。今までこの国を支えてきた王がいなくなる。頭の中ではなんとなく予想していた事でも、いざ本当の事になると信じられない。きっとこの先は状況次第で突然姿を消してしまうこともあるのだろう。

カルサとこうして面と向かって会話をするのは、きっと最初で最後なのだ。

「以前は、リュナ様と二人で夜を語り明かした事もありました。」

ふいにリュナの言葉がよぎり、レプリカが口を開いた。

「総本山に行かれた頃です。皇子を気遣われて、色々と伏せながら私にお話をして下さいました。私はその時に総本山がオフカルスだと気付き、世界のカラクリも分かったのです。」

レプリカの話は一体何を意味しているのか未だ分からなかった。彼女の言葉により二人には再び後へ回した疑問符が甦る。それを今は押し殺した。

「皇子が心配だと、力になりたいと、何度も声にしておられました。オフカルスにいた時の皇子の目が切ない位に冷たかったと。」

何かここに嫌な思いでもあるのではないか、きっと何があったとしても自分には話してくれないのではないか、そうリュナは悩んでいたと言葉を続けた。

「少しでも胸の内を話してくれた時は嬉しかった。力になれるように、もっと強くなりたいとも。」

リュナのカルサに対する気持ちがレプリカから伝わってくる。いつも抱えきれない程の愛情を与えてくれる存在、それがリュナだった。

「私は…リュナ様は皇子と共に歩まれる道を選ばれると思います。」

レプリカの声が淡く響く。その言葉に微笑んだのは誰だろうか、彼女ならそうするだろうと思ったからかもしれない。

「私達はお二人の居場所を守り続けます。」

どのような結果であれ、レプリカはその言葉を胸の内に秘めた。カルサはいつの間にか伏せていた視線をレプリカに戻す。彼の目を見たレプリカは静かに頭を下げ言葉を続ける。

「どうぞ無事にお戻り下さい。」

レプリカの言葉がカルサの胸を打つ。その姿はやはり千羅と重なって見えた。隣に目をやると千羅が切ない表情を浮かべレプリカを黙ってみていた。

再びレプリカに視線を戻してみる。下げられた頭は一向に上げられる気配はなかった。カルサはそれを黙ってみているしかできなかった。

心に決めた思いは強い、だが無下に断り謝る事も出来ない。互いの思いが強すぎて身動きがとれなくなってしまった。カルサにとっては近しい存在の古の民を悲しませたりしたくはなかった。

「1つ、宜しいでしょうか?」

まるで空気を変えるように入ってきたのは千羅の疑問符だった。

ゆっくりと顔を上げたレプリカは千羅と顔を合わせる。

「私に、でしょうか。」

レプリカの問いに直ぐに千羅は肯定の声をあげた。


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