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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉後編-10

「ここに来る前の皇子の話でも気になったのですが、同じ事が出たのでお聞きしたいのです。」

「オレの話?」

「はい、日向について。」

カルサの目が大きく開く。いまいち状況を理解できないレプリカは千羅とカルサの様子を伺っていた。しかしカルサも同じように状況を理解できていないらしい。

「単刀直入に聞きます。ここで出会う前から日向をご存じでしたか?」

千羅からの質問は二人に投げられたものだった。やはり何をしようとしているのか分からない二人は顔を合わせて交互に答え始める。

「はい。もちろんです。」

「どうしたんだ?千羅。」

二人から肯定の返事が出された。千羅は考えをまとめる為に視線を一度下にすると、すぐに顔を上げて二人と目を合わせた。

最初はレプリカに、そしてカルサと合わせる。

「私は日向を知りません。」

衝撃がカルサを襲った。しかしレプリカは動じなかった。

「はい、記憶を消されているはずです。」

「千羅は先代バンの記憶を受け継いだはずだ。」

千羅の言葉をきっかけにカルサの中で浮かんだ記憶があった。つい先刻に話した事、何故か日向の話の時の皆の反応は悪かった。

「きっと先代様の記憶から消されているのだと思います。」

レプリカが可能性の1つを掲げた。もしそれが本当ならば、あの時あの場にいた彼女からも。

「マチェリラも記憶を消されたのか。」

声にならない呟きがカルサから漏れる。やるせなさと、悔しさ、自分ではどうにも消化できない気持ちが体中を埋め尽くしていく。カルサは強く拳を握った。

「教えて下さい。日向とは、どのような人物なのですか?」

二人ともカルサの異変には気付いていた。千羅が答えを求めた先はレプリカ、彼女も自分の役割を感じていた。一度カルサの様子を見てから口を開く。

「日向様はオフカルスの第二皇子。カルサトルナス様の弟君でございます。」

レプリカの答えを受け、千羅はすぐにカルサの方を見た。開いた口が塞がらない、何か言おうとしても声にならない、言葉に出来ないほど衝撃が強かった。

日向はカルサの弟。

その記憶が皆から消されていた。その必要性、そうする理由、そして誰が行なったかは安易に予想が付いた。

カルサはただ拳を強く握り締めることで今のあふれ出る感情を押さえようとしていた。ならばどうして、日向をここへ導いたのだろうか。

その理由も簡単な事だった。沸き上がる感情は心も身体も暗闇に染め上げてしまいそう。強く身体を揺さ振る怒りが二人から滲み出ていく。


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