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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉後編-14

「シャーレスタン様。」

驚きの人物にレプリカはただ名前を復唱してしまう。

「サルスの件だが、その事で来てもらった。まさかシャーレスタンが来るとはオレも思わなかったけど。」

カルサも意外な事実にまだ動揺しているようだった。頭を掻きながらシャーレスタンの現世の姿を目に焼き付ける。やはり昔の面影は一切ない。

それを言えば千羅も瑛琳も前世の神官の姿とは全く違うわけなのだが。そんな疑問を自分の中で解決しながら気持ちを落ち着けていった。

「そうだな、シャーレスタンなら適役だ。」

かつてオフカルスの神官としての彼女の役割は、命果てた者の魂を浄化させ次に生まれ変わる為の世界へ送る、渡しの仕事を行なっていた。なるほど彼女なら死人の魂と触れ合う事ができる。

「今は圭といいます。」

「そうだったな。」

声こそ穏やかだが二人の心中は複雑だった。姿は違えど顔を合わせるのは太古の時代に起きた、あの事件以来。シャーレスタンはそこで命を落としていた。

「マチェリラ、貴女も姿を隠す必要はないのよ。」

圭は宙に向けて声を投げた。レプリカだけが状況が分からずに圭の周りを探している。やがて圭と貴未の間にぼんやりと光が現れた。次第にそれは大きくなり人の形を作っていく。

そこに現れたのは、まぎれもなく神官マチェリラだった。

「マチェリラ様!?」

見覚えのある姿、マチェリラは生き残っていたのだとレプリカは確信した。安堵の気持ちが沸き上がり涙が止まらなかった。

「何故泣くの?」

マチェリラがレプリカに問う。

「生きてらした事に安心しました。ほぼ全員が被害にあわれたと聞いていたものですから。本当に良かった。」

「生き残っても良い事なんてないわ。その分、痛みも苦しみも背負っていかなければいけないもの。」

消えそうな声でマチェリラは呟いた。その言葉の中に彼女の歩んできた道の険しさが伺える。彼女に何を言えばいいのか、言葉を失う者が多かった。

「なんで?オレら知り合えたじゃん。良い事あったじゃんか、なぁ?」

そんな空気をいとも簡単に壊してしまうのが貴未の役目だった。自分の意見の同意を圭にも求める。圭は頷きマチェリラの頬を軽くつねった。

「ひねくれ者。」

「うるさいわね。」

そう言葉を交わすと二人は笑いあった。それはいつかみた風景、自分より幼いマチェリラをいつもあやすようにからかっていたシャーレスタン。それは生まれ変わり圭となった今でも変わりはなかった。

「生きているだけで幸せよ。ね、カルサトルナス。」

静かにマチェリラの言葉がカルサには染みていた。それを見透かしたように圭はカルサを巻き込んだ。

「そう思いたいんだけどね。」

溜め息混じりに答える。その言葉は決して嘘ではなかった。


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