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『あたしのビョーキ』
【同性愛♀ 官能小説】

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『あたしのビョーキ』-6

 午前中の試合は五六対五一で大河原の勝利に終わった。
 途中までは西川内が圧していたものの、試合後半の粘り強さを見せた大河原が徐々に点差を詰め、最後には逆転を許し、結局は負けてしまった。

 午後は新人同士で試合をするらしく、食後にウオーミングアップをするよう言われた。
 ギャラリーも減ったところでのびのび出来る。あたしは島田ちゃんにストレッチを手伝ってもらいながら気持ちを高める。もちろん、試合的な意味で。


 主審のホイッスルが鳴り響き、試合開始。
 ジャンプボールはあたしが制して木皿サンにパス。
 身軽さに定評のある彼女ならと思いきや、ドリブルしながらでは振り切ることも出来ない。かといって高いパスは通らない。唯一身長で勝てるあたしは二人がかりでマークされているし、前に出られない。

 しかし、それも想定済みだ。

 木皿サンはゴール下まで走りこむと、相手ディフェンスに背を向けてバックパス。
 島田ちゃんが颯爽と現れてフリーな状況下でスリーポイントを狙う。

 島田ちゃんのシュートはリングにぶつかるものの、しっかりと決まった。ベンチでは歓声が上がるけど、喜んでいる暇は無い。相手の速攻を止める術は西川内にはほとんど無いんだ。

 追いすがるも頭一個分の身長差のある大河原の高いパスに攪乱される。唯一対抗できるあたしには、お下げの可愛らしい子がしきりにブロックしてくる。
 いわゆる誘い受けとでもいうのか、ちょっとでも押したらファールを取られかねないブロックに、あたしはかなりてこずらされる。
 そうこうしているうちに、大河内のでかいのが強引にゴールを決める。

 中途半端な位置にいたあたしはそのまま上がり、パスを受ける。マークを振り切りゴール下を目指す。西川内の攻撃は奇をてらったスリーポイントだけじゃない。正統派な攻撃力だってある。それを見せることで相手に警戒させるんだ。

 しかし……、

「ビー!」

 いつの間にか前にいたお下げが、あたしの前で転倒する。

「ゼッケン五番、ファール」

 あたしがファール? ってか勝手に転んだだけじゃん!

 そう言いたい気持ちを抑えてボールを放棄する。
 なるほど、さすが誘い受け子。ファールを誘うわけか。かなりテクニカルな子だ。
 ファールを誘うのは汚い手。だけど、それをしないのは小学生まで。ルールの範囲で戦う以上、されたほうが間抜けなんだ。
 ならいいさ。五回なんてカウントさせない。必ず抜いてやるんだからな。
 あたしは誘いうけ子に対する闘志がわいてきた。

 身体をぶつけてはダメだ。相手が擦り寄ってきても逃げろ。ただし下がるな。なんとしてもかわし、もしくは囮になる。そのどちらかだ。
 島田ちゃんが上がるときは掴んででも受け子を逃がすな。あの子じゃこの子にとられるだけだ。十分程度に付き合いだけどわかる。
 受け子は大河原にしては背が低いし、スピードも並だ。三年がいないからとはいえ、ウチのベンチより層の厚いにも関わらずスタメン張れるのは相応のテクニックがあるからだ。


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