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『あたしのビョーキ』
【同性愛♀ 官能小説】

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『あたしのビョーキ』-12

***―――***―――***

 崩れ落ちる彼女をあたしは抱いていた。このままもう少しいたい。けれど、騒がしくなる外の様子に邪魔される。

「なんだろ? 外、うるさいね」

「多分他の部が帰ってきたんだよ。今日はサッカー部も野球部も練習試合あったっぽいし」

 他校のスケジュールに詳しいわけじゃないけど、大河原は運動部への力の入れようが違うから、休日はどこかしらの運動部が試合をしてるらしい。そういえば中学に上がるころ、わざわざ学区外の大河原にいった子もいた。公立中学で引き抜きするなんてやりすぎだっつうの。

「となると、誰かくるかもしれないじゃん。見つかったらやばいね。逃げよっか」

「そだね」

 イタズラっぽく笑う芳江にあたしもにひひと笑い返し、急いでジャージを羽織り、リュック片手に更衣室を出る。

***―――***―――***

 更衣室を出たら不安要素はない。そりゃ他校の生徒がうろちょろしてたらこのご時勢、多少は問題あるだろうけどさ、多めに見ろよって話だ。

 隣を歩く芳江はまだ絶頂の余韻があるのか、あたしを見るたびに「バカ」と照れ隠しする。
 いかんなあ。涎が零れちまうよ。だってさ、人生十四年を経て、ようやく趣味を共有できる子が見つかったんだよ? あたし、この先もずっと処女、童貞のまんまかと思ったけど、これからは……。
 あはは。今日はもう無理だけど、来週の今頃、いや、土曜なら母さん達もいないし、あたしの部屋につれこんでさ。今度はあたしも楽しませてもらいたい……。

「芳江ー」

 後方より芳江の名前を呼ぶ声あり。振り向くと、ボール片手に爽やかマンがやってくる。

「たっくん!」

 たっくん? 知らないなあ、そんな男。

「芳江も今帰り?」

「うん。たっくんは?」

「俺はまだ練習あるけど……悪いから先帰っててよ」

 たっくんとやらはあたしのことをちらりと見た後、申し訳なさそうに言う。けど、先帰っててよってなんだよ。まるで芳江が自分の持ち物……。

「んーん、練習終わるまで待ってる」

 目を輝かせて頷く彼女に、あたしは理解した。

 まあ、あれだ。火遊びって奴?

***―――***―――***

 帰り際、芳江は番号交換しようといってきたけど、あたしは適当に四桁教えて別れた。
 つか、見事な誘い受け。それどころか浮気ですかい。なんだよ、そんなに男が良いかよ。たかがチ○コがついてるだけだろ? あれでされるとそんなにいいのか? あたしの手でイッたじゃん。

 んでもあたし、イッてない。

 なんだかやるせない気持ちになったあたしは、まっすぐ帰る気になれず、近くの公園でブランコに揺れていた。
 どうしよう。つか、どうしろっつんだ。この気持ち。
 受け子の顔が浮かぶたびにむしゃくしゃする。しかも、可愛らしいアヘ顔でさ。憎めないよね、あんな可愛い顔見せて爪たててくるんだもん。釣り逃がした魚はでかすぎる。いやマジで。


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