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あごがすきなんです。
【フェチ/マニア 官能小説】

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あごがすきなんです。-8

***


私は先輩に想いを伝えて、ゆっくり付き合っていくことになった

先輩も私のことが気になっていた、と恥ずかしそうに言ったから

化粧っ気のない私を可愛いと言ってくれて、私の嫌いだった垂れ目も優しそうで好きだと言ってくれた


なんだか夢でも見ているような気分だったけど…

私が顎をきっかけに先輩に好意を持ったことは、どうしても言えなかった


先輩の清らかな思いと、私の顎フェチは全然違う…


もし『杉山先輩の美しい顎のラインが好きです』なんて言ったら、せっかく始まった恋も一気に別れに向かってしまうだろう


やっぱり…言えない


何回かデートをして、自分のことを話したり先輩の話を聞いたり…

幸せが増していくと共に、不安が募っていく

いまだに手も繋がない距離に焦れったさを覚える反面、関係が進むといつかばれてしまうのではないかとびくびくしながら付き合っていた

そんな私の思いは、我慢していたせいか、ある日呆気なく流れ出てしまった…


***


その日は先輩とデートの約束をしていたと言うのに、前日寝るのが遅くなってしまい寝坊してしまった

遅刻しそうになって焦りながら、待ち合わせ場所に向かって急いで家を出た

先輩はいつも来るのが早いから、時間ちょうどに到着しても待たせてしまうのに…

走って行くと、いつもの柱の所に、杉山先輩が立っていた

先輩はまだ私には気付いていない

先輩が、鞄からペットボトルのお茶を取り出して飲もうとしたときに、私が「先輩」と声を掛けてしまい、タイミングがずれてしまったのか、先輩の口の端からお茶が零れてしまった

こぼれたお茶は先輩の綺麗な顎を伝っていく…

…走ったから頭に血が上っていたのか、
せき止めていた思いがふき出してしまったのかは分からない

とにかく私の目にはその光景は妖艶過ぎた

私は先輩の首に抱きつき、お茶で濡れてしまった先輩の顎を…
…舐めてしまった

「……っ…!」


----すぐに我に返り、先輩の驚いた顔が目の前にあることに気付いた

一気に血が逆流するように感じた


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