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fantasy ability
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reality ability‐第8話‐刻印・【真】‐-12

「‥‥。織音。今の俺には答えは出せない。‥‥済まない。」

皇希は頭を下げた。顔の方向は‥体全体が織音には向いてなかった。

「‥‥。うん、だと思うわ。気にしないでね。でも、覚えておいてね?この想いは真実も偽りも関係無い。‥‥ただ、私は皇希の事を愛してるだけよ。」

織音は言い終わると体をビクンと一回だけ震わせた。背中が激しく輝く。皇希は冷静に見るだけだった。

「せ、背中が‥‥熱い‥‥。‥う、っ!‥‥あああ!」

織音は再びベッドに倒れこんだ。ハァハァと息も切らしていた。目には痛みで涙が少し溜まっていた。

「‥な、何よ。‥‥こ、‥‥この‥“詠唱”‥‥?‥‥知ら‥ないわ。」

織音は頭を抑えていた。とここで皇希が立ち上がり織音へと近づく。

「それは“愛の刻印詠唱”、それに背中に“少し前の俺”のように“愛”が書かれているはずだ。‥‥見せてくれるか?」

織音は混乱した。何かを思った皇希は服を脱ぎ、無言で背中を見せた。そこには【真】という文字は何処にもなかった。いつの間にか、消えていた。
‥‥考えられるのは覚醒の儀式だろう。それを機に“力”を取り入れた皇希だ。無くなろうと問題がなかった。
織音はなんとなく納得し起き上がる。少々キツいのか、少しゆっくりだった。そして、少し恥じらいながら脱ぎ出すと、背中を皇希に見せるように壁に向く。
その背中には【愛】という文字が確かに書かれていたのだ。刻印の1つだろう。皇希の【真】、織音の【愛】。これで刻印の2つが明かされた。
皇希が刻印を確認すると、織音は服を着る。皇希が刻印の事を喋る。真実を‥本当の事を言わない皇希には珍しいが、これは違うのだろう。

「刻印‥【愛】は愛する心を“力”にする。最も攻撃力も回復力もある。刻印の中では最強だろう。」

織音は真剣な表情で聞いていた。皇希の表情からは嘘ではない事が解る。

「‥私はその“力”に覚醒(めざ)めたという事?‥‥“刻印の力”‥‥」

織音は“刻印”の事を知らない。5つの刻印があり、その1つだと思っているのだろう。皇希の言葉で少なくとも【愛】は解った。
‥‥要は“愛する心”が“力”へと変化する“刻印”。故に攻撃力と回復力に制限的な限界が無いのだろう。という事は防御力も同じだろう。
維蕪の使った幻想具現化が良い例である。“愛の型、守想の鎧”が防御力を物語っていた。型があるという事は“真の型”もあるという事だろう。
だが、皇希はその“型”を使ったような事はまだ無いと思う。皇希が口を開ける。


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