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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - 目覚め --5

「まぁな」
らしいと言えばらしいのかも知れないと思った。
直接聞いた訳じゃないけど、多分ゆーしは和葉のことが好きなんだろう。
なんとなく判る。
そしてそれに和葉が気付いてないことも、なんとなく判る。
自分に対して誰がどう思ってるとかには気付かないっていうか、基本的に興味のない奴だから。
だから、常に自分の素を出していられる。
それはカイトも同じで、凄い羨ましいと思う。
そこでどうしてもオレは、人の瞳を感じてしまうから。
「おっはよー」
教室の扉を開ける音と和葉の声が重なって聞こえた。

・・・・・。

「なんかあった?」
「は?」
―2限目が終わって中休み。
カリカリと和葉に借りたノートを写していると、頭から声が降ってきた。
「いきなり言われても、意味が判らん」
声の主―和葉―に、答えを返す。
授業が終わってすぐだからか、辺りにゆーしの姿はない。
軽く周りを見回すと、コタローはいつも通り机に突っ伏して寝ている。
・・・・。
―つかあいつ、授業中から寝てないか?
「伊吹ちゃん?」
「あ?ああ」
完全に和葉の存在を忘れてた。
「で、なに?」
「え?」
こいつの話はいつも唐突だ。
「んーと。伊吹ちゃん、いっつも休み時間小太郎くんとしゃべってるのに、今日は朝からほとんど一言もしゃべってないから、なんかあったんかなー、って」
「・・・」
―そして、唐突な上に心臓に悪い・・。
「そもそもずっとノート写してんねんから、話すような時間もなかったやん」
「まぁ、休み時間はね」
・・・・。
確かにその通りなんだけど、余計なお世話だとも思った。
「別になんもないし」
微かに語気を荒げて言い放つ。
「そう?」
それに気付いたのか気付いていないのか、しれっとしている和葉。
「・・。うん」
逆にその態度に、一瞬でも女の子相手に苛ついた自分自身を恥じた。
「じゃあさ」
「・・・?」
瞳を輝かせながら、机の上に身を乗り出してくる和葉に、若干たじろぐ。
こういう顔をしている時の和葉は、ロクなことを言い出さない。
「みんなでコタローくんの家行こうよ」
・・・・・。
「・・・・は?」
眉をひそめる。
「随分と長い間だったねー」
―そりゃな。
言葉を発しかけ、止める。
「なにしに?」
「えーと。伊吹ちゃんと小太郎くんの復活祝い?」
―なんだそりゃ・・・。
しかも今、明らかに取って付けただろ。
復活っつか復帰な気もするし。


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