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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - 目覚め --13

―ガチャ。
音がした。
そのままドアノブに手を掛け、引く。
―ガチャ、キィ・・。
・・。
「お前な・・・」
軽い頭痛を覚えながら、横目でコタローを見る。
「いや、ちゃんと音する方に鍵回したし」
・・・。
「じゃあ最初っから開いてたんちゃう?」
ため息混じりにそう言う。
「ああ。考えてみりゃ今日姉貴居るわ」
完全に忘れていたらしい。
・・・。
―アホは死なな治らんか・・・。


「あ、おった。姉貴ー」
靴を脱いでいると、先に中に入り、洗面所を覗き込んだコタローの声が聞こえる。
「おじゃましまーす」
コタローが邪魔で中までは見えないものの、一応他人の家だし、挨拶をする。
玄関に上がり、コタローがなにかを話している様子を軽く覗く。
「あ、いらっしゃいイヴ君」
オレの姿を認めた把理(はゆり)さんが声を掛けて来る。
「なんか久し振りやね」
フワッとした微笑を浮かべながら、言われる。
「そうッスか?」
「うん。でもあたしが居ない時は良く来てたって聞いたけど?」
少し首を傾げながら、意地の悪い質問をしてくる。
「いやいや、ちゃいますよ。たまたまです、たまたま」
「あはは、そっか」
そう言って、また微笑う。
八重歯が口唇の間から覗く。
「つか把理さん、今からどっか行くんスか?」
いつものナチュラルメイクにカジュアルな服装じゃなく、ちょっと余所行きな感じの格好をしていたので聞いてみる。
「あ、うん。ちょっと小学校の時の友だちと遊び行くから」
「把理さん、いくつでしたっけ?」
ふと気になり、聞いてみる。
「17。小太郎とは3つ違うから」
「高校ですよね?」
「うん、高2。今日は先生が研修とかで、半日やったから・・どしたん?」
途中まで言った後、オレの顔を覗き込んで来る。
「あ、いや」
ふと、考えごとをしていた。
「つか姉貴、電車遅れんで」
横からコタローが言う。
「あ。ありがと、コタロー。じゃ、またねイヴ君」
「はい、また」
慌てて靴を履き、駆け出していく把理さんを見送りながら、オレは少し考えごとをしていた。
―小学校から高校、それ以上まで続く友だちって、どんなもんなんだろう。
今、オレは中学生で、コタローやゆーしとは小学校から知ってる。まぁ、和葉はもっと前から知ってるけど・・。
そう考えた時、じゃあこれから先、高校行っても大学生になっても、仮に大人ななっても今みたいに笑いあえるような関係でいられるんだろうか・・・?
「イヴ?」
後ろから肩を叩かれ、弾かれたように振り向く。
「・・?どしたん?」
首を傾げながら聞いてくるコタロー。
「いや・・」
いくら考えてもしょうがないことではある。
結局未来なんて誰にも判る訳ないし。
それ以前に、考えてみればあれ以来あんましこいつに関わりたくないんじゃなかったか?
「なんでもない」
そう言って後ろを向き、階段を昇って行く。
「あ、俺の部屋行っといてやー」
後ろからコタローの声が聞こえる。
返事をするのもなんとなく面倒で、軽く手を振って応えた。


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