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過激に可憐なデッドエンドライブ
【ファンタジー その他小説】

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過激に可憐なデッドエンドライブ-4

「わはは、相変らずだな」
「…大丈夫かな」
「いつものことだし、冗談でやってるんだろ」
 きっと…。
「確かに、あの鷹山が内股で走る様はシュールだな」
 心配そうに見つめるキョウを尻目に、コウサクがしみじみと呟く。
 シュールっていうか、モザイクかけないといけないくらい目に毒だろ。走る十八禁だ。
「そういえば、川田たちはどうしたの?」
 見てられなくなったのか、キョウが話題を逸らす。
「あいつらは用事があるとか言って先に帰ったよ」
 うちの空手部は全部で六人+マネージャー一人の小所帯だった。先輩達が抜けて、後輩は一人しかいない。顧問である文法先生のシゴキが厳しすぎるせいだが、その分、俺達はとても仲が良かった。毎日、殴り合って練習しているのに不思議だと思う。
「来年は受験だからな、予備校でも選びに行ったのかな」
 いつのまにか戻ってきた鷹山が割って入る。
「いや、あいつらに限ってそれはないだろ」
 勉強からもっとも離れた世界に位置する奴らだった。
「そうだキョウくん。試験休みにみんなで行く旅行の予約してくれた?」
「あ、ごめん。まだしてないや」
 さくらの言う旅行とは、二月末に行くスノボ旅行のことだった。突然、鷹山が言い出してさくらが乗ったのに、幹事はなぜかキョウだった。
「じゃあ、明日一緒に行こうよ、テツくんも」
「ああ、いいよ」
 なんで俺を誘うのか不思議だったけど、ヒマなので頷いておいた。
「ちょっと待ったあああ!」
 鷹山が片手を上げて大声で叫ぶ。
「さくらの思い通りにはさせません! てっちゃんとキョウを両手に侍らせて何をするつもりだ、この泥棒猫があ!」
「いや、だから旅行の予約…」
「ははん! そんなバレバレの言いわけ聞きません、当然、俺も行きます。まったく油断も隙もあったもんじゃない」
 そう言いながら肩を竦める鷹山。
「ていうか、お前明日修行だとか言って、文法先生おぶって家までうさぎ跳びするって言ってたじゃん」
 そう切り捨てると、鷹山はよよよと崩れ落ちた。
「…そうだった。先生と約束したんだった」
まるでいたいけな少女、の真似をするジェロム・レ・バンナのようだ。
「引いてたけどね、先生」
 さくらが追い討ちをかける。
「わはは」
 笑うコウサク。
「まあまあ、また今度部長も一緒に遊びに行こうよ」
 キョウの優しい一言に鷹山が顔を輝かせる。
「キョウ、なんていい奴なんだ!」
 そう言いながらガバッとキョウに抱きつく鷹山。
「うわっ、ちょっと部長、うう、おえ、ワキ、くさい…」
 素直なキョウの正直な感想だった。
「……」
 ぱっとキョウを離した鷹山は、遠くを見つめてため息をついていた。
「あ、ごめん。違うんだ、今のは」
 何が違うのか、キョウが必死に弁解しようとする。
「まあ、ドンマイ! 武蔵之介」
「その名前で呼ぶな! 小娘」
 鷹山は名前を呼ばれるのを極端に嫌う。理由はかわいくないから。
「ていうか、さくら俺は誘ってくれないのか。ははは…」
 コウサクの笑い声は乾いていた。
 なんだかんだで騒がしいけど、これが俺の日常風景。
 かつての俺になくて、今の俺にあるかけがえのないものだった。

 玄関を開けて、真っ暗な一室の明りをつける。
 高校のある綾野駅から電車で十分の都市部。その中央に建つマンションに俺は一人で住んでいる。
 一人で住むには広すぎる間取り。
 それでも、ここは寂しさを感じるどころか俺に安らぎを与えてくれる。


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