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過激に可憐なデッドエンドライブ
【ファンタジー その他小説】

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過激に可憐なデッドエンドライブ-38

「え、天界って天国のことじゃないの?」
「アホ。それじゃあ、キョウコが死んだみたいじゃないか」
 リリムレーアが口を挟む。
「はあ? 俺は母さんが死んだってババアから…」
「死んだんじゃありませんよ。ただ幼かったあなたに事情を話してもわからないし、天界に一度行ったら、ほとんど一生帰ってこられないから、お婆様のつかれた優しいウソです」
 いや、死んだって言われた方が辛いだろ。どこが優しいんだよ。
「とにかく、キョウコは生きている。そもそも、私を人間界に逃がしてくれたのはキョウコだ」
「さすが伯母様」
 扇子を拡げた夕子が言った。
 ずっと死んでいると思っていた母親が生きている。
 それは何かに突然頭を叩かれたような衝撃だった。
「会いたいか?」
 リリムレーアが真剣な顔で言う。
「…ああ」
 恥ずかしかったけど、頷いた。それは十年来の願いだったから。
「そうか。だが、すぐには無理だ。残念だったな」
 おい。
「人間界から天界への門を開けるほどの術者はほとんどいませんもの。伯母様の時は、伯母様自身の魔力と竜神様の魔力を合わせたからこそ開いたんですのよ」
 にこにこしながら夕子が言う。
「そう落ち込むな。強力な術者を何人も集めれば門は開く。だから、まずはその術者を集める手伝いをしろ」
 超上から目線でリリムレーアが言った。
「ヤダ!」
 そんな偉そうな命令は断固拒否である。
「鉄也さん!」
 夕子がたしなめるが、予期していたのかリリムレーアはやれやれといった感じでため息をついていた。
「だいたい、その女のオヤジが母さんを連れ去ったんだろ? なんでそんな奴の子分にならなきゃいけないんだよ!」
 だん、と床を叩きながら叫んだ。
「無礼な点が多々ありすぎるが、お前の言い分もわかる」
 そう言いながらリリムレーアがちらりと夕子に目を向けた。
「それが帆村の使命だからですわ。私達の祖先は天界からの堕神で、竜神様に忠誠を誓ったのですよ」
「そんな昔のこと知るか!」
 ババアならともかく今の俺にはおっとりした夕子なんて目じゃない。
「鉄也さん。そんな聞き分けの悪いこと言わないで。お姉ちゃん悲しいわ」
「なーにが、お姉ちゃんだ。昔ならいざ知らず。俺だって空手を習って鍛えたんだ。もうお前なんかにはやられないよーだ!」
 俺は自分のセリフにじーんと感動した。
 ついにあの夕子に反抗してやった。
 夕子はお嬢様なので数々の習い事をしていて、その中でも古武術の腕前は男顔負けだった。その古武術に何度痛めつけられたことか。俺のお嬢様恐怖症の原因になったのは夕子だった。
 そんな俺をリリムレーアが同情を含んだ目で見つめていた。
「まあ、それは楽しみ」
 ズゴーン、ズゴーン!
 突然、ド派手な音がして俺の頬を何かが掠めた。たらりと頬から血が垂れる。
 冷や汗をダラダラ垂らしながら夕子を見ると、その手に白煙を上げた拳銃が握られていた。
「お、おま、おま…」
 初めて見る凶器に、おまえ、という簡単な単語すら出ない。
「あら、ご自慢の空手はどうしたのかしら? 鉄也さん」
 拳銃をこちらに向けながら夕子が微笑む。
「なんで、そんなモノを! 銃刀法違反だぞ」
 至極まっとうなことを突っ込む。
「ほほほ。我が一族はこの国の総理大臣の上に君臨しているのよ。その当主代理たる私には法律なんて効きません」
 そんな危ない一族だったのか俺の実家は。
「というか、そこで震えているのは次期当主ではないのか…」
 リリムレーアが冷静に突っ込む。


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