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かなわないヒト
【女性向け 官能小説】

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かなわないヒト-1

小娘、って陰で呼ばれてるのは知ってる。

ケアレスミス多いし、失敗したら声に出ちゃうし、自分でもこれで社会人どうなの?!とは……思う。


だからがんばったつもりだったけど、私の手元には提出した書類。

ハイ、やり直しー

プラス明日の会議資料

ってもうやだ……



「樋村また残業?手伝おっか?」
「あー…佐伯ぃ。うん、いや大丈夫大丈夫」

同期の佐伯は優秀で、出世頭の有望株。
更に顔よし性格よしの爽やかくんで、先輩方や他の部所でも大人気だ。

特にオンナのコたちに。

でも私はその中に入らない。
前に好きな子について聞いたとき、その子は本当に思われてるんだなってわかったから。

あの佐伯でも情けない顔するくらい、まいってるんだなって思ったらなんか負けた。

あの顔だけで、私の恋は終わった。


だからといって、せめて同期の位置、友だちな位置はキープしてたいし、迷惑かけたくない。


「また残業すんの?ちょっと無理しすぎだろ」
「大丈夫、大丈夫」
ひらひらと手を振ると佐伯は渋りながら帰っていった。

実は、佐伯の手伝いを断るのは、私の中でもうルールになっていた。
たまに友だちが手伝ってくれたりしても、佐伯の申し出だけは受けなかった。
やっぱり……佐伯だけには迷惑な同期もったな、とか思われたくないよ。




クシュン!

あ…やば、何時?
てか書類!書類!!

ガバッと起きると時計はすっかり日を越えてた。
あ〜〜っ
寝ちゃった……間に合わない…
でもやらないと…

明日いや今日の部長を思うと怖くて泣けてくる。
私なんでこんななの…

「あ、樋村起きた?」
「ぇ…さ、さえ、き?」
「ほら、書類」
「えっ…ぁ…ごめ、迷惑かけちゃっ、たね」
笑いながら返事するのになぜか、涙が溢れてとまらない。
膜になってゆらゆら目の上に溜まってる。

こぼれないで。
私みっともないじゃん…迷惑かけてばっかで…何やってんだろ

笑って、平気だって
言わなきゃ


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