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ある季節の物語
【SM 官能小説】

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ある季節の物語(夏)-2

 …脱がないのか…

 …ええ、シャワー浴びたいの…

 私は、その山荘に初めて入ったときから、夫となったその男とのふたりだけの部屋の雰囲気に
戸惑っていた。
   
 
 …ここで、その服を脱ぐんだ。オレたちは、もう他人じゃないんだぜ…
 
 夫は、まるで尋問でもするかのように撫でるような低い声で言った。そして、ゆっくり煙草を
くわえた。
 私は夫の見つめる視線に、初めて粘りのある濃厚な男の性欲を感じた…。ユキヒロの瞳にこれ
まで感じたことのない淫猥で澱んだ視線だった。


 …えっ…ええ、そうなのよね…と、私は躊躇いながらも衣服を脱ぎ始めた。

 白いシルクのスリップだけの下着姿を男の前に晒すのに、こんな恥ずかしさをこれまでに私は
感じたことがなかったように思う。

 
 
 ユキヒロが、コーラの缶を開け唇をつける…若い男の白い喉もと、そしてその缶を持つしなや
かで細い指…まるで女の子のようなピンク色の清潔な指だ。


 …それで、その夜の初めてのセックスはどうだったの…

 …そうね、あなたのご想像におまかせするけど…と、私はわざと興味なさそうにつぶやき、
ユキヒロの手にしたコーラの缶を取り唇をつける。どこか微かな甘酸っぱいあなたの唾液の匂い
がするようだった。


 …何回もいったの…と、ユキヒロはちょっと笑みを浮かべ、わざと厭らしく聞く。

 …いかなかったわ…あの人、私のあそこがまだ濡れないのに、いきなり入れるのよ…

 ユキヒロのコーラを含んだ冷たい舌が、私の下腹部を這う。



 いや…あの夜、そして次の夜も…男はそのペ○スを私に与えることはなかった。
 
 
 
 
 あのとき、私がショーツだけになった姿を夫の前に晒したときだった。夫は用意していたのか、
バッグの中からあのずしりとした黒い麻縄の束を取り出したのだ。

 …こんなこと、いやだわ…と、私は後ろ手に手首を縛られながらも、抵抗することなくそれを
受け入れた。夫の手によって、乳房の上下に幾本もの縄が這うように私の肌を喰い緊めていった。


 なぜだろう…あのとき私の乳首が、その縄が与える感触にふくらみを持ち、少しずつそそり立
つように尖っていったのだった。

 縄で縛られ、体を拘束される被虐感…そして夫の欲情に充ちた視線の中で、ショーツを撫でる
ようにまさぐられ、少しずつ剥ぎ取られながら露わにされる私の性器…
 その羞恥心と被虐感を煽るような男の指先に、私は妖しい甘美な予感を感じ、体がどこからか
溶けていくようだった。 


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