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交差点
【ホラー その他小説】

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交差点-2

その後、もうニュースを見る気など失せてしまった真一は、そそくさと自分の部屋へ戻っていった。殺風景な部屋に広がる漫画本の数々。これは、今までに真一が自分のお金、もしくはお小遣いなどから必死に集めた、いわば宝物のような物だった。
そんな宝物を一瞥してから、部屋の脇にあるテレビに近づき電源を入れる。そして、次は黒いゲーム機のスイッチを入れた。すると、画面には“デスレース”とでてきた。このゲームは、殺人を行いながらカーレースをするもので、真一にはすばらしく面白いゲームであった。そのため、このゲームを真一は一日に五時間もしている。そのせいで若干目が悪くなるほどだ。
真一はこういう殺人系のゲームが大好きな少年だった。部屋にある大量のゲームも、そのほとんどが殺人系である。だが、もちろんのこと実際の殺人には興味はない。だから、こういったゲームをしているから殺人を犯すかもしれないと言うことはないのである。
そんな真一は本日二度目のゲームに没頭していた。そのときだった。
『真一!!』
下からの怒鳴り声に一瞬体をびくつかせる。
『下りてこい!!』
再び怒鳴られ、またも体が敏感に反応する。
父親、友之の言うがままに一階へ下り、そろりと顔をだす。
『何してんだ、早くこっち来てここに座れ。』
さっきよりは明らかに落ち着いてはいたが、その落ち着いた様子もまた怖い。
『オマエこれ何だ。』
落ち着いた様子の友之は、テレビ画面を指さして言った。画面には、現内閣総理大臣の顔が映っている。
これがどうかしたのか、と咄嗟に口走りそうになった真一だったが、改めて自分の過ちに気がついた。その様子を悟ってからか友之はこういった。
『やっと気付いたか。なんで、テレビがつけっぱなしなんだ!!』
そう、たったこれだけのことなのだ。毎回毎回友之はこんな些細な事ですぐ怒鳴る。これは昔からだった為に、それが真一にとっては当たり前となっていた。そして、他人の家族をうらやましがるのではなく、他人の家族はどこまで甘いんだ、と言ったとらえ方になってしまうのだった。
げんこつを一回もらった真一は、泣くのを必死でこらえ友之の説教を受け続けた。その最中で病院に勤務中の母親、光子が帰宅し、一応その場は治まった。元々友之は一度怒鳴ればすっきりするタイプなのでもうこれ以上しつこく言ってくる心配もなかった。
病院に勤めている光子は、殴られた箇所を優しく手当てしてくれた。その手が何より温かかった、と真一は心底ホッとした気持ちに浸っていた。
その日、真一は夕食をすませたあと早い眠りについた。
校門の前に佇み、やっとこの日が来たかと胸を躍らせる。真一の横を何人もの人が誰だ?と言ったような目で見ながら通り過ぎる。そんな視線はもちろん気にしてなどない。心の中でよしっ、と呟き、門をくぐる。と、そのときだった。
『あぶないっ!!きっ、君!!!どけて!!早く!!』
後ろからの怒鳴り声にびくつき振り返ると、そこには大きなダンプカーがいた。そのダンプカーはそのまま真一に向かって突進してきた。
『おいっ!!ダンプカーを止めろー!!!』
真一は咄嗟の出来事に何の反応もできずに突っ立っていた。すると、まもなくダンプカーは目の前まで。
『だめだ!!!逃げろっ!!!逃げるんだ!!!!』


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