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僕らの日々は。
【コメディ その他小説】

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僕らの日々は。〜聖夜に駆ける男達〜-2

「クリスマスソングって言えばさ、あれも有名よね。『サンタが街にやって来た』とか」
「あぁ、あるある」
「あ、でも一文字間違えると大変ね」
「………?どんな風に?」
「『サタンが街にやって来た』」
「街が魔界になっちゃうじゃん……」

もはや聖夜どころじゃない。

「あ、あの曲も危ないわね」
「どの曲?」
「『ママがサタンにキスをした』」
「悪魔と契約してんじゃん!」

子供が見たら色んな意味でショックを受けるだろう。
何の儀式だ、何の。

「サンタかぁ。サンタさんも大変よね」
「ん?何だよいきなり」
「いやほら、最近の家ってセキュリティ厳しいじゃない?こっそり侵入するのも一苦労よね」
「……サンタも時代に取り残されないように進化してるんだよ、きっと」


赤外線センサーの網をくぐり抜け、オートロックの暗証番号を解除して、音も無く民家に侵入し、子供にプレゼントを配るサンタ。

……ヤバい。
ちょっとカッコいい。

「サンタさん、今夜は大変よねぇ。世界中を回るワケだし」
「ま、一年で彼が1番忙しい日だからね」

というか、彼が働いているのは今夜くらいだろう。
……ん?待てよ?

「じゃあ一年の他の日は何をやってんだろ?」
「ダメねぇ春風、そんなの決まってるじゃない!」
「……?何さ?」


一葉は自信満々な様子で、


「新人教育よ」
「世代交代!?」
「よく考えてもみなさいよ。一晩で世界中を回るのよ?サンタは複数いると考えるのが自然だわ」

いや、まあ。
それはそうだけど。

「でも新人教育って一体何を……」
「え?そりゃあ、ピッキングとか暗証番号破りとか……」
「やっぱり勉強するんだ、それ!?」


近代サンタへの道は厳しい。
……いや、っていうかやってる事は完全に犯罪者だけども。

それにしても、と一葉は続けて口を開く。

「でも、煙突が無くなっただけでも良かったわよね」
「……はい?どういう事?」
「昔はサンタは煙突から家に侵入してたのよ?知らないの、春風?」
「や、知ってるけど」

ホントかどうかは別として、だけど。

「考えてもみなさいよ。煙突って、普通は暖炉に繋がってるのよ?」
「まぁ、だろうね」
「サンタが侵入した時に、運悪くまだ暖炉の火が残っていたとしたら……目が覚めた子供が目にするのは、火だるまのサンタさんなのよ?」
「もはやホラーだな」


一生記憶に残るクリスマスになるだろう。
別名、トラウマとも言う。


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