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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライ @-6

「日直代わるとか、ノート取るとか…」

「そんなのだめだ」

「だめって…大体なんでカノジョ?そういう事はホントに好きな人にやってもらえばいいじゃない。寄りによって私に言わなくても…」

「そんな事したら相手に迷惑がかかる」

「私にならいいって事?!とことん性格悪いね!」
「とにかく!毎日ああやって囲まれんのは俺も困ってんだよ。追い払うにはカノジョいるって言うしかないからな。お前ほど気が強かったら多少の事じゃへこまないし貸しもあるしちょうどいいんだよ」

どこまで自分勝手なの?!

「あんた、サイテー」

私の呟きを聞き逃さなかった大迫は

「サイテーで結構。とにかく明日からはカノジョとして振る舞えよ」

「嫌いな人相手にそんな風に出来るはずないでしょ」

刺々しく言う私に

「手始めにそれっぽく名前で呼べ」

どこまで偉そうなんだか。

無言でいる私に

「おい、聞いてんのか?」

「聞いてるよ。名前で呼べばいいんでしょ」

「明日からだからな。忘れんなよ」

大迫はそう一方的に告げて電話を切った。

何で昨日携帯を忘れたんだろ。

何で拾ったのが大迫だったんだろ。

悪夢だ!
今夜は悔しさで眠れそうもなかった。
カノジョのふりかぁ…。
憂鬱だ…。

トボトボと力なく登校する私の肩に軽く手が置かれた。

ゆっくり首を巡らせると一気に目が覚めた気分になった。

「おっ、大迫…!」

何、気安く人の肩触ってんのよ!

私の怒りなんて全く意に介さず

「名前で呼べって言ったろ」

ため息混じりに注意をする。

黙って俯く私は何だか泣きたくなっていたけど、こんな奴に涙を見せたくない一心でグッと我慢した。

無言で歩く私をそっと窺うような気配が感じられ大迫が口を開いた。

「そんな嫌そうにすんなよ…」

大迫の事だから落ち込む私に追い打ちをかけるように意地悪を言うものと思ってたのに、意外に気遣うような言葉をかけられて思わず顔を見上げた。

珍しく困惑したような表情で、いつもの偉そうな態度は感じられなかった。


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