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【初恋 恋愛小説】

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1・2・3-13

十一

七月になり夏らしくなってきた。
学校では七月に入るとすぐに期末テストがあり、翔ちゃんのことをあきらめるには好都合だった。
「あーー!!もうやだ」
サヤカちゃん現国の教科書を力強く閉じた。
「サヤカちゃん、この時間が終わったらテスト終わりだから…今日の帰り浴衣買いに行くんでしょ」
「そうだけど…」
今日は7月20日にある花火大会のために浴衣を買いに行く。
実は私、朝からドキドキしてる。
浴衣を買いに行く話を市川君に何気なく言うと、市川君偶然にみせかけて街で合おうっていうのだ。
私、バレないかな?嘘とか苦手だから…
市川君、サヤカちゃんに会いたいだけだきっと。
テストが終わり、門を出た私たちの目に翔ちゃんと涼子ちゃんが飛び込んできた。
……大丈夫…もうあきらめたし、二人を見てもつらいことなんかない。
二人から目をそらす。
サヤカちゃんと昼ご飯を食べて、浴衣を買って店を出た。
いつ来るんだろ市川君…
私、あたりを見渡す。
打ち合わせだとこのあたりで会うはず…
「時田じゃん、何やってんの?」
きっ来た!!
私、鼓動が早くなる。
市川君の隣にもう一人…
あっ松田君?
「え?市川?」
サヤカちゃん、大きな目をより大きくさせる。
サヤカちゃん、驚いてる。かわいい。
「小西さん、久しぶり」
市川君、含み笑いで私を見た。
「こんにちは!!」
うっっ
不自然に声が大きくなる。
私たちカフェで休むことにした。
通りに面した窓側四人がけの席があいていて、サヤカちゃんが入り口に背を向け窓側に座り、その正面に市川君が座ったので、サヤカちゃんの隣に座った私の正面には松田君がいる。
私をかわいいって言ってた人…だよね…?
「俺たち、今日期末終わったんだけど、時田たちは?」
注文を終え、一息ついたところで市川君が言った。
「私たちも今日終わったの、もうやだ!!」
サヤカちゃん、首を振る。
私、顔を上げれない…
「松田君って甘いもの好きなの?」
注文の品が松田君の前に置かれ、それを見たサヤカちゃんが言った。
松田君の前に置かれたのはチョコレートパフェだった。
「え、あ、うん」
松田君、テーブルに置いてあるスプーンを持ったとき…
あっ!!
スプーンの先が水の入ったコップに当たり、コップが倒れてしまった。
「あっ、わっ、ごめん」
松田君、慌てておしぼりでこぼれた水を拭く。
「え、大丈夫?」
サヤカちゃん、自分のおしぼりをさしだした。
「しっかりしろよ」
市川君、倒れたコップを起こした。
幸い松田君は水を大分飲んでいたのでこぼれた水は大した量ではなかった。
両親と子供みたい…
私、目の前まで来た水をおしぼりに吸い込ませ三人を見た。
松田君って、慌てんぼうだ。
この人を好きになれば…翔ちゃんを忘れてられる…よね……?
私、顔をあげると松田君と目があった。松田君、真っ赤な顔でうつむいた。
私もつられて真っ赤になる。
恥ずかしいー!!
別に好きだと言われたわけじゃないのに…


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