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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「僕とアニキの家庭の事情・5」-8

「さて、どーしょっか。」
植本家のドアの前。
扉とにらめっこしつつボクは呟いた。
まぁ扉とは言っても、『一軒家でドーベルマン飼ってますが、何か?』とかって佇まいではなく、マンションの一室。3LDKの、うちよりもちょっと大きいめの部屋。
(ま。何にせよ、顔見なきゃ始まらないか)
取り敢えず、意を決してベルに指を延ばす。

―ピンポーン

・・・・・。
出ない。


―ピンポーン
・・・・・。
(・・んにゃろ。)

―ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピポピポピポピポピポ・・・・・

―ガチャガチャ・・ガチャっ

「うっさいっ!誰やねんっっ!!」
途中から割とムキになってチャイムを連打していると、パジャマ姿の馨が飛び出して来た。
「おつー」
微かに頬を紅く染めた馨にひらひらと手を振る。
(ちょっと顔赤いし、熱あんのかな。んじゃ仮病ではない、か・・・・)
「なんや、紅か・・・って、チャイム連打し過ぎやお前はっ!」
馨は、ボクの顔を見て軽く拍子抜けしたような声を上げた。が、すぐに気を取り直したのか、少し声を荒げる。
「すぐに出ないのが悪い」
確かに連打はうるさかっただろうなという気はするケド、取り敢えず無茶な事を言ってみる。
「アホか、無茶言うなや」
「んー、てゆか元気そーねー」
すかさず話題をすり替えてみる。
「ん?あぁ、まーなー。朝は死ぬかと思うくらい熱あってんケド、一回寝たら治っ」
「そかそか。じゃあ心配ないよネー。安心したからボク帰るー」
敢えて話の腰を折るように言葉を被せ、そのまま帰ろうとしてみる。
「え。いやいやちょい待ちっ、何しに来てんっ」
さっきのお怒りはどこへやら。ポチ君、普通に焦ってます。
「んー?いや、だって元気なんデショ?ヨカッタヨカッタ。」
「いや、あの・・せ、せっかく来てんから、上がってきや・・・」
「ボク、ジュース飲みたい」
「・・・出すから」
勝った(笑)
そんな良く判らない駆け引きをしながら、取り敢えずボクは馨の家に上がり込んだ。


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