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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「僕とアニキの家庭の事情・5」-7

しかし―
笑い声やブーイングが飛び交う中、朝からボクの中で浮かんでいた疑問は更にややこしくなっていた。
普段馨は滅多に休まない。
それは昔から続いていて、中学校の時なんて風邪を引いて40℃の熱を出し、それでも登校しようとする馨に、おばちゃんがドクター・ストップを出した一度しか休んだ事がない。まぁこの時は「バカだから風邪引いてるって判らなかったんデショ?」とかってボクと円でいぢめてたんだケド。
そして高校入ってからは今日まで(遅刻こそしまくってるけど)皆勤だった馨が、自分から「風邪引いた」ってわざわざ電話して休む・・・?
なんか、気になる・・。

「ふーん、風邪、かぁ」
横で円がボソッと言った独り言に、ボクは現実に還った。
「円?」
声に吊られて円の方を見る。と、いつものアルカイック・スマイルを浮かべた円ではなく、表情のない、彫像の様な少年がそこに居た。
(・・・・・。)
「円ー」
「んぁ?あー。なーにー?」
もう一度声を掛けると円は表情を崩し、いつものへらった顔を見せる。
「・・・・ま、いーや、なんでもね」
「変なこー」
何にしろ、円に何を聞いてもまともな答えが却って来ない以上、また同じ質問をしてもしょうがない。
(って言うか、ボクが変なのか?!)
「おら、判ったら朝礼すっからとっとと席着けおめーら。遅刻にすんぞ」
「ぁい」
「・・・・。」
そしてボクはだーやんの一言で、今更朝礼前だと言う事を思い出した。


「みまいー?」
昼休み。
いつものようにフランクフルトを頬張り、串をピコピコと動かしながら誘ったボクの提案に、円はイチゴミルクをストローで吸い上げながら首を傾げた。
「そ。まぁ見舞いってゆーか、指差して嘲笑うってのもイイかも」
「きてぃくだねぇ、こーはー」
軽く酷い事を言うボクに円は、恐らくもう無くなっているであろうパックの中身を、未練がましくストローでズルズルと音を立てて吸おうとしながらツッコミを入れる。
って言うか誰が鬼畜だ。
「まぁ冗談はさて置き、見舞ってやるのも優しさぢゃね?」
「んー。」
予想通り、円の食い付きが悪い。
本当に馨が風邪がどうかって言うのも気にはなるけど、それ以上に今日は円の様子がおかしすぎる。
もし仮に昨日何かがあったんだとしたら、馨がその理由を知っている可能性が高い。
だから逆に、円が着いて来ない方が、尋問するのに好都合だったりする。
・・・・・まぁ、軽くお節介な気はするけど。

「前からおもってたケドー、こーって割とおせっかいだよネー」
(・・・・・。)
サトリかこいつは。
「かおりんがお風邪を召してるとか、珍しいぢゃん?」
あくまで平静を装いつつ、受け流す。
「こーがけいご使うとかキモちワルイー」
「うん。ボクも思った」
確かに我ながら、言ってて気持ち悪かった。
「あはは」
「で、どーする?行く?」
ポッキーをポリポリとかじりながら笑う円に、それとなくお伺いを立ててみる。
「んー。やめとくー」
「りょーかい。まぁ、わざわざ行かなくても隣だしね。」
「となりってゆーか向かいだしー」
取り敢えず内心ホッとしながらも、口には出さない。
「うっせボケ。揚げ足取んな」
「あはは。んじゃいてらー」
「まだ行かないってば」
などと実りのない話をしている内に昼休みが終わり、放課後。
言っていた通り円は来なかった。
と言うより、やはりまだ本調子じゃないらしく、医者に帰りがけ寄るよう言われてたらしい。
それならそうと最初っから言えば良いものを・・・・。
そしてボクは馨の家の前に来ていた。


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