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純白の丘
【初恋 恋愛小説】

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純白の丘-3

考えている間に病院に着いた。
受付で病室を聞いた後エレベーターに乗り部屋に向かった。
部屋の前に行くと、ちゃんと明日香の名前の表札が入っていた。
部屋に入るなり明日香の顔が見れた。学校で見るより何か、新鮮な感じがする。
少しおどかそうかと思いベットの横に座り声をかけようとすると、人の気配を察知してか顔を俺の方に向けた。
そして、
「優斗君?来てくれたの?」
目が見えないはずなのになんで分かったのだろう。とりあえず聞いてみる事にした。
「え?ああ、うん。でもなんで分かったの?もう目が・・・。」
「ううん、まだ手術はしてないから見えないよ。なんとなくそんな気がしたから。」
「そうなんだ。元気そうで何よりだね。ああ、司がよろしく伝えといてくれだって。入院するなんて聞いてなかったからびっくりした。」
「ごめんね。隠すつもりはなかったんだけどお医者さんが、三日前急に手術受けてみないかって言われたから。テストまでには退院できるらしいし。」
「いつ手術なの?」
「明日。」
明日!?早いな。
なぜだか分からないが急にあせりだした。
明日ならもう今日気持ちを伝えた方が良いのか。
「あのな、明日香。」
声のトーンで緊張しているのが自分でも分かる。
「どうしたの?急に改まって?」
「えっと、その・・・。」
なかなか言い出せない。明日香は不思議そうな顔をしている。
「あの、手術頑張ってな。」
言えなかった。言えるはずがなかった。明日明日香は一人で手術に挑むのに、自分自身の気持ちなど打ち明けられるはずもなかった。
「うん、頑張る。そしたら目がまた前ほどまでじゃないけど、見えるようになるんだもん。」
そう言ってる間にすぐに面会時間が終わりを告げた。
「明日また来るからね。」
「うん、ありがと。気を付けて帰ってね。」
病院を出て、駅の改札口に向かう。すると手には、お見舞いの品のはずのケーキを持っていた。
今さら届けても面会時間が過ぎてるから渡せない。
しかたなく家に持って帰る事にした。
家につくと、リビングからテレビの音が聞こえる。
顔を出すと霞姉が一人ソファに座りテレビを見ていた。
「おかえり。明日香ちゃん元気そうだった?」
「まあいつもと変わりなくかな。」
すると霞姉は俺の手にしている、ケーキの箱をじぃーっと見ている。
自分一人では食べきれそうにない量なので、霞姉にあげることにした。
顔色変えて霞姉は態度も変える。
「さすが、我が弟ユー。まあこちらにでも座りなよ。」
まあ今は、一人になりたくない気分なので素直に隣に座る事にした。
辺りを見回すと、母が見当たらない。
「なあ、かあさんは?」
すでに箱をあけようとしていた霞姉は、俺の顔を見ようともせず口を開く。
「今日は、父さんと外食するんだって。だから夜中まで帰ってこないらしいよ。」
「ふ〜ん・・・。」
霞姉は、俺の少し変わった態度を察知してか、テレビを消しケーキを置いた。
そして、顔をこちらに向け話しかけてきた。
「ユー?なんかあんた今日変な感じね。なんかあったの?」
「別になんかあったわけじゃないけど・・・。」
「そう?ならいいんだけど。もしかして明日香ちゃんの事考えてない?」
図星!!あんたさすが俺の姉だよ!っと心で叫びながら、何も答えずにいた。
「ユーは顔にすぐに出すから、分かりやすいね〜。まっでも言いたくない事だってあるだろうし。無理して言わなくてもいいよ。でも、一応あんたの姉ちゃんなんだから、何かあったらいいなよ。」
今日は、なぜか良く人を好きになる日だ。こんなに姉に優しくされたのは、いつぶりだろう。
「うん、ありがと。まっあてにしてないけど。」
精一杯の照れ隠しをした。
「何を!こんにゃろ!」
立ち上がり、腕を俺の首に巻き付けるやいなや、すぐコブラツイストの体勢をとられた。
「ギブ?ギブ??」
締め上げられながらも元気を与えてくれた姉に、感謝した。


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