投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

保健室のヒマワリ
【学園物 恋愛小説】

保健室のヒマワリの最初へ 保健室のヒマワリ 4 保健室のヒマワリ 6 保健室のヒマワリの最後へ

保健室のヒマワリ-5

「ねぇ先生。どっか遊びに行こうよ」



「あら?こんなオバさんを誘ってくれるの?嬉しいわね〜」
「先生は全然オバさんなんかじゃないよ」
「何言ってるのよ。高木君より10歳も年上よ?立派なオバさんだわ」

先生はアハハッと笑って言った。



「はぐらかさないでよ。俺、本気なのに…」


先生はいつも俺を相手にしてくれない。
いつも冗談で済まそうとする。


「なら、尚更ダメだわ」


先生は困ったように笑う。


「何で?俺、先生好きなのに」



先生は麦茶を一口含み、コップをゆっくり机に置いた。


『ありがとう。でもあたしは先生で、高木君は大切な生徒よ。それ以上にはなれないわ』
“ピピ………ッ”

先生の言葉と同時に、俺の携帯が鳴った。


「ほら、友達からでしょ?テスト最終日なんだから、早く遊びに行ってらっしゃいよ」

先生が手を振りながら言った。
携帯を開けると、先生の言うとおり『先に行ってて』と言った俺が余りにも遅いため、友達からの催促のメールだった。
このタイミングで・・・・。
なんて間の悪いメールだろう。


「行ってきなさいよ」

携帯を開いたまま、返事をどうしようかと思って居た俺に、先生が優しく微笑んだ。


「・・・・わかったよ」


しぶしぶ立ち上がる。本当ならば、ずっとここに居たい気持ちだったけど、友達も邪険には出来ない。


「先生!!俺、本気だし、夏休みも毎日来るからな」


釈然としない気持ちを抱えたまま、そう言い残して保健室を後にした。

先生は困った顔で笑って手を振っていた。
困らせたいわけじゃない。

伝わらない想いに、少しだけ胸が熱くなった。


保健室のヒマワリの最初へ 保健室のヒマワリ 4 保健室のヒマワリ 6 保健室のヒマワリの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前