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嘆息の時
【その他 官能小説】

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嘆息の時-8

(ど、どこへ行く気だ……)
必死に寝たふりをしながら、神経を鼓膜に集中させる柳原。
足音やドアの開閉音から、どうもこの部屋の隣へと移動したらしい。
柳原はすぐに起き出し、隣との空間を遮断している薄い壁に耳を当てた。
眼を閉じ、グッと息を潜め、再び全神経を耳に集中させながら壁の向こう側の様子を伺う。
そこからの物音は、ハッキリと聞き取ることができた。だが、二人の会話は微妙なノイズ程度にしか聞き取ることができなかった。


「沢木さん、わたし……んんっ」
愛璃の言葉を遮るように沢木が唇をかぶせていく。
沢木も必死だった。
このチャンスを逃してはいけない。結婚の話まで出ていた彼女を捨てる決意までさせた女。もちろんそれは沢木の勝手な行動、単なる我侭にすぎない。しかし、それほど愛璃への想いが強かった。
「愛璃ちゃん……好きだ……」
淫情にかられながらも、僅かに残されている冷静な思考を使って慎重に愛璃の反応を伺いながら事を進めていく。
沢木は、口腔に粘っこく舌を徘徊させながら、ギュウッと愛璃の身体を抱きしめた。
すぐに舌を絡めとり、背中を感情的に力強く撫でまわしていく。
背中を這いまわっている沢木の手は、愛璃の理性をひどく誘惑した。
弱った心に沁みていく沢木の肌の感触と体温……それが安堵感を湧き立たせ、身体の緊張をほぐしていく。
沢木の手が背中からヒップのほうにまで行動範囲を広げてきても、愛璃の心にはもう躊躇いなどなくなっていた。

チュ、チュパ、チュッ、チュパ―――

暗闇の中、ベッドの前に立っている二人の身体が複雑に絡み合いながら蠢いていく。
延々と続けられているキスにも、変化が生じていた。
沢木の口が、愛璃のふっくらとした上唇と下唇を交互に咥え上げては、その唇の裏にツツーッと舌を這わせていく。愛しいピンク色の唇を丹念にしゃぶってからヌッと口腔へ舌を突き伸ばすと、愛璃の舌がそれを待っていたかのように優しく絡みながら抱擁してくる。
愛璃の積極的な態度は、沢木に残っていた僅かな冷静な部分を木っ端微塵に砕いた。
箍の外れた沢木の行為は、もうあからさまだった。
キスを続けながら、愛璃のフレアスカートをグイグイとたくしあげていく。
それを腰の部分まで引き上げると、すぐに張りのある太ももから肉付きのよいヒップへと手を這わせ、そこにある魅力的な膨らみを手のひらいっぱいに掴み取った。
唇を重ねたまま、薄いパンティの生地に包まれたヒップを両手で掴みあげる沢木。
その、両手に掴んだヒップを手前に引きながら、自身の股間を愛璃の股間に強く押し付けていく。
スラックスの中で、はちきれんばかりに硬直している沢木の逸物。
それを、こんもりと膨らんだ愛璃の股間へグリグリと擦り付ける。


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