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きみおもふ。
【純愛 恋愛小説】

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きみおもふ。-24

「それにね、私、逸くんと別の女の子が仲良く一緒にいるところなんて絶対見たくない」
しかし影はそれでも動かなかった。
「ごめんね…」
友夏は俯く。
「こんな答え欲しいんじゃないよね」

「そうじゃ…ないよ…」

絞りだされたような声。擦れて響く。

す、と影は動いた。友夏を包み込むように腕を回し、抱き寄せる。
「嫌か……?」
ふるる、と首を横に振って友夏は逸の胸に顔を埋めた。仄かにシャボンの匂いがする。
「ちょっと痩せたね。明日からちゃんと食べなきゃ駄目だよ」
そう言った友夏を引き離す逸。気に障ることでも言ったのかと顔を上げた友夏の唇に、軽く短く何かが触れた。
「嫌か…?」
響く声はすぐ傍。友夏は唇に手を添えたまま微かに首を振る。
「びっくり、しただけ…」
次の瞬間、強く抱き寄せられ熱いキスが贈られる。先程の触れるようなものとは比べものにならない。
何度も何度も繰り返される口付けは逸の想いの全てだった。
どれだけキスを繰り返したろうか、やっと唇が離れる。同時に逸がずる、と崩れ落ちた。
「逸くん!」
慌てて友夏が支える。
「やべぇ…」
友夏の肩に頭を預けながら逸は呟くように言った。
「俺もう友夏から離れらんねぇ……」
ぼっ、と友夏の頬が燃えるように色付いた。
「好き過ぎておかしくなりそう……」
「ありがと…」
恥ずかしそうに友夏が告げた。
「私、まだハッキリ言えないけど……もう少し待っててくれる?」
「当たり前だろ…」
逸の言葉に友夏は微笑む。

「あ、そうだ」

そんな彼女が突然思い出したように声を上げた。
「逸くん知ってた?イトコ同士って結婚できるんだって」
友夏の言葉に、逸は顔を真っ赤に染めて友夏に向けた。
「し…ってるけど…」
「私こうなら言えるよ」
逸の両手を自分の両手で挟んで、にこっと笑う。
「逸くんと結婚したら、私きっと幸せになれるだろうな」
「ゆっ……」
逸は赤くなったまま言葉を失った。友夏は相変わらずにこにこ笑っている。
「それ、プロポーズ?」
やっとかし出た声で逸は尋ねる。今度赤くなるのは友夏だった。
「べ、別にそんなんじゃ…」
くっくっと笑い、逸は友夏を抱き寄せる。そのまま後方のベッドへ倒れこんだ。
「嘘、冗談。でもいずれはそうなりたいなぁって思ってた…」
闇は静かに二人を包む。その闇がいつもより優しい気がするのは勘違いではないだろう。
天窓から微かに覗くお月様が静かに銀の光を降り注いで微笑んでいる。

「ゆか…今日は帰んないで。傍にいて……」

穏やかな逸の囁きに、友夏は腕の中で小さく頷いた。








最後に。
この作品に登場する高校、大学名は全て架空のものであり、現実に存在するものとは一切関係ありません。


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