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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 18-6

***

クリスマス当日を迎えても、奏は目を覚まさなかった。

いくら医者が数日中に奏の意識は回復すると言っても、不安でしょうがなかった。

ひょっとしたら…

相変わらずマイナス思考の俺は、不安になってばかりだった。

俺が病室に入ると、お父さんとお母さんは黙って部屋を退出してくれた。
二人の時間を少しでも作ってくれるのは本当にありがたかった。

俺は眠っている奏の頬を撫でた。
確かに温かい。
「奏」
呼びかけたが反応は全くない。
「今日はクリスマスだぞ。プレゼント、ちゃんと持ってきたんだからな」

俺は持ってきた包みを開けると、小さな箱を取り出した。

「…メリークリスマス」
俺はそう呟く。
箱に入っていたペアリングの片方を、奏の細い左の薬指につけてあげた。


給料三ヶ月分の代物だった。


そして俺はその薄い唇に、静かに初めてのキスをした。


もちろん、それで目を覚ますはずがなかった。
「…奏、ずるいかな?でも許せよ。こうすれば、目覚めそうな気がしたんだ」

何もできない俺にとっては、これが最後の望みだった。
それからは、無心で奏の手をぎゅっと握ってやる。

そうしてただ時間は過ぎていった。


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