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「魚と彼と下半身」
【性転換/フタナリ 官能小説】

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「魚と彼と下半身」-4

「人魚?」
何故か彼がそんな質問をしたので、またうなずいた。
「…ってどうしたの??」
今度は頷くか首をふるかの質問じゃなかったので、水面まで浮上し、顔を出して私は言った。彼は、こんな顔今まで私に見せたことない、というような顔で私の半裸の姿を眺めている。
「えっと、、、。私の上半身と、私の飼っていた魚の上半身が入れ替わったの。」
「・・・・・・」
「それで、ここにある汚いのは、」
「続けなくていいよもう分かったから・・・・」
 私の下半身が排泄した物体をさっき踏んでしまった彼はものわかりがよかった。私がどういう状況にあって、この部屋がなんでこうなっているのか、察してくれた。でも何故こうなったかはもちろん彼にもわからなければ、私にもわからない。原因をかんがえるより、とりあえず今の現状を受け入れなければならない。
私は何故彼がここへやってきたのか気になっていたので尋ねた。
「なんで、ここ来たの?何かあったの?」
「ちっちゃい人魚と話する、っていくらお前でも、なんか緊張するな..」
「・・・」
でも、もうあまり怖がっていなくて私を私だと見做してくれていることがわかったので、少しほっとした。
「さっき、俺のマンションの屋上に雷が落ちて、火事になった。」
「そうだったんだ。」
「死ぬかと思った。俺の部屋は最上階だったから直撃はしなかったものの、一瞬窓枠とかケーブルとか金属のとこに青白い光が走って、壁とか床が燃え出して。」
「怪我はないの?」
「うん大丈夫だった。下への階段は大丈夫だったし、5階より下は無傷だったから、消防車来る前には降りれた。」
「よかった…ほんとあの雷すごかったよね。近くに落ちた、って思ってた。」
雷が落ちたときのことを私は思い出した。
「そういえばその時なのよね….」
「何が?」
「雷落ちたときに、私気絶して、目が覚めたらこうなってたわけ。」
「夢か童話みたいな話だよな。」
「うん。そうよね。そうなんだけど、こうなってるからには、この滅茶苦茶な現実を受け入れなければならない、とか考えたのよ。受け入れるとかの前に、とにかくもう、混乱して意味不明なの。」
「うん。俺も、この部屋見た瞬間も意味不明だったけど、お前のその姿見た瞬間の方がもっと意味不明だった。」
「ほんとに目が点になってて、おもしろかったよ(笑」
汚物の散らばった部屋での、支離滅裂な彼との再会…..。
「そういえばありがとうね。こんな汚い部屋なのに、私の心配して探してくれて。」
「いやこんな汚いから何かあったんだろうとおもって焦ってたんだよ。」
「ありがとう」
「礼はいいから。とにかくどうればいいのか..」
「そうねぇ・・・・」
「・・・・」
「・・・」
「とりあえず俺掃除するよ。」
「え」
「いいよ。気にしなくて。この部屋このままにして管理人が警察呼んだりしたらお前こまるだろ。」
「ごめん。」
彼にゴミ袋、ごみ手袋、新聞紙などの場所を教えると、彼は何も言わず悪臭の中、もくもくと掃除をする。意外と20分以内に、洗剤で床を拭くのも含め、全ての掃除が完了した。
「ありがとう。ほんと助かったよ。」
「芳香剤と消臭剤買ってくる。」
そういうとすぐに、彼は、鍵をしめて、傘をとり、出て行く。なんとなく、付き合い始めて数ヶ月くらいの一番仲がよかったころの二人にもどれたような気もした。とにかく心の中で、私のこの絶望的な状況を一時的にでも和らげてくれた彼に、とても感謝。
 外ではまた大雨が強く降り出した。雷もさっきほどのではないけど、結構頻繁になっているみたい。暴風や洪水になっていないか心配した。すぐ近くにホームセンターがあったので、彼は10分もたたないうちに帰ってきた。傘は射していたようだけど、かなりぬれている。


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