投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

過ぎ去りし日々
【その他 恋愛小説】

過ぎ去りし日々の最初へ 過ぎ去りし日々 87 過ぎ去りし日々 89 過ぎ去りし日々の最後へ

還らざる日々〜last〜-16

 ─1,998年─


 長く続いた尚美との関係にも、ピリオドが打たれる日が訪れた。

 別れた後、尚美の慟哭が聞こえるアパートを後にして、一生はバイクに向かう。
 ポケットからマールボロを取り出し火を着けた。

 ゆっくりと煙を吐きながら夜空を眺める。空気が澄んでいるのか、星は煌々と瞬いている。

「とうとう独りになったな。これも自業自得だ…」

 一生は独り言を吐くと、タバコを踏み消してアパートを後にした。




「一生、ハガキ。アンタ宛てよ」

 尚美と別れて半年後のある日、母親が自室にやって来てハガキを渡した。

 差出人の名前は辰本尚美とあった。

「…辰本…?」

 裏を見ると、尚美が純白のウェディングドレスに身を包み、満面の笑みをたたえてケーキ入刀をやっている写真だった。
 そのとなりは新郎だろう。一生よりも少し年上に見える。

 写真の下になぐり書きで文章が書かれていた。

〈ざまあみろ!ウチは今、メッチャしあわせや!(ハワイより)〉

 その文章は、いかにも天真爛漫な尚美らしい。一生は思わず吹き出してしまった。

「アッハッハッハ!アイツ、結婚したのか…ハワイかぁ…暑そうだな…」

 一生はコルク・ボードに尚美のハガキを貼り付けた。




 尚美と別れてから一生は色々な女性と付き合ったが、長くて数ヶ月、短いと1週間だけと続かなかい。改めて聡美のような女はそうはいないと悟った。





 ─2,008年─


 〈プルルルルルッ!〉

 夕食の準備に忙しい時刻、電話の呼び出し音が響く。

「アンタちょっと出て!」

 手が離せない母親は、一生に電話に出るように言った。仕方なく子機を持ってリビングに座り、対応する。

「はい、浅井ですが…」

「一生さんをお願いします」

 それは聞き覚えがある声だった。
 しかし、〈どうせセールスか何かだろう〉と、一生はややぶっきらぼうに答える。

「一生は私ですが…」

 その途端、女性の声が跳ねるようにカン高くなった。


過ぎ去りし日々の最初へ 過ぎ去りし日々 87 過ぎ去りし日々 89 過ぎ去りし日々の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前