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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-2

「おじさんの、すごく美味しかったよ!」
私はとびきりの笑顔で心にも無いことを言う。
「そうかい?おじさん、本番だったらもっと……」
「でも、約束は約束だからね!」
あたしは男の言葉を遮り、手のひらを上にして男に突き出した。
「あ、あぁ……」
男は少したじろぎ、慌てて体を探り、財布からお金を取り出す。
「はい、じゃあ約束の七千円!」
「ありがとっ☆」
「ねぇ、今度はどっかホテルで……」
あたしが満足した、と勘違いしているおっさんが交渉を始める。でもね……悪いけどあたし、いくらお金積まれても本番はしないんだ。
「ごめん、おじさん!あたし、友達との約束があるから!」
「あっ……ちょ……」
あたしはまだ服装の乱れている男を後目に、非常階段を駆け下りた。
階段を駆け下りて、サチとの待ち合わせ場所へ急ぐ。
地下街のインフォ、あたしとサチの「例のとこ」だ。
おっさん二人組にナンパされたのが2時間半前、サチと決めてる時間まで後30分ある。
あたしはフェラだけだから大体あたしの方が早い。
サチは大抵ホテルに行って本番までしちゃうらしい。
あたしには、無理だ。


インフォについたあたしは通りを歩く人をボーっと見つめる。
皆から見れば、あたしはごく普通の女子高生に見えるだろう。その証拠に、1人でいると見た目がギャルっぽい格好をしているサチと一緒にいる時に比べて、ナンパされる確率がずっと低い。
黙って早足に通り過ぎていく人の群れがなんだかモヤモヤした塊みたいに見えてちょっとゾクッときた……。



<2.サチとなら>
「美樹〜お待たせっ!」
約束より二十分遅れてサチがやってきた。
「あ、サチお疲れ〜」
「ほんま疲れたよ〜今日のおっさん最悪だった!下手くそだし、遅漏だし……でも、顔なし写メで報酬二倍!今日はおごっちゃうよ〜」
そう言ってサチは指を四本にしてひらひらと振った。
「何それ、すご〜っ!」
あたしは顔なしでも写メなんか絶対撮らせない……もし何かの形であのうるさい母親の耳に入ったら……考えるだに恐ろしい。
その点サチはあっけらかんとしているから、客も頼みやすいんだろう……
サチは
「運動したらおなかすいたね〜何食べる?」
「え〜っ、マックでいいよぅ。」
「美樹〜今日のあたしはお金持ちなんだよっ!よし、イタリアン!決定〜っ☆」
「えっ、ちょっと、ちょ……」
「はい、話はお店で聞きま〜す。」
サチにはかなわない……だけど何だか心地よい。
サチのような彼氏だったら欲しいなぁ……



「でね、朝いきなり姉ちゃんがさぁ……」
店ではサチの弾丸トークが続いている。
最初この店に来た時は、「何だ、この場違いな女子高生は」という様な視線を浴びていたが、サチのイタリアン好きによりすっかり常連だ。
と言っても、あたしもサチもタバコは吸わないし、お酒も飲まない。ただ、その分食べる、食べる。
「店員さ〜ん、『天使が忘れたジェラート』を2つ追加ね〜」
「ちょ、サチ!あたしもう食べらんないよ?」
「大丈夫☆あたしが2つ食べるから!…………ところで美樹、ちょっとお願いがあるんだけど……」
「どしたの?急に改まって……」
美樹は少し水を飲んでから話を続けた。


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