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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-19

<12.スキ……>
「スキ……」
それだけ伝えたい。
でも、もう出てこない……あたしの勇気は、もう使い果たしてしまった……
「島川さん……」
先生があたしの名前を呼ぶ。
次の瞬間、あたしは先生の腕の中にいた。
突然のこと過ぎて何が起こったか理解するのに少し時間がかかる。
「え……」
「ありがとう、島川さん。かわいい教え子がそんなに想ってくれるなんて幸せだよ。」
「先生……」
「でも、島川さんの気持ちには……」
「……」
二人の間を沈黙が流れる。わかっている……わかっていた……先生がきっとこう言うだろうってことは……けど、わかっていたって、涙が止まらない。気持ちは収まらない。先生がその言葉の続きを言う前に、あたしの想いをぶつけなきゃ。
あたしは先生に思いっきり体を預け、先生の胸に顔を押し付けて叫んだ。
「先生、好き!」
「島川…さん……」
あたしをかき抱く先生の腕にぎゅっと力がこもる。
「……僕は教師だ。教師なんだ……」
それから長い、長い沈黙。あたしが少し冷静さを取り戻せるくらい長い、長い時間。あたしは抱かれたまま、先生の言葉を待った。
きっと後少し、この時を過ごしたら、あたしは帰らないといけなくなるだろう……だから今はいられるだけ先生の胸の中にいよう……せめてこの温もりを覚えとこう……
五分は経っただろうか。ようやく先生が口を開いた。
「けど……」
え、けど?けど何?
「僕はもう教師として……島川さんを、教え子の1人として見られなくなってしまった……。男として、島川美樹を愛しい、と思ってしまった……」
「先生……」
「この一線は、越えたらもう元の教師と生徒の関係には戻れない。いいね?」
先生が言っている意味、解るよ。
……あたしももう高校生だ。
「うん。もちろんだよ。」
ありがとう、先生……あたしの想い、正直受け止めてもらえないと思ってたよ……
先生と視線が絡み合う。
「スキ……」
最大限気持ちを込めてもう一回呟き、何かを期待してぎゅっと目を閉じた。


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