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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-16

「うん……何かあんま余計なこと考えてたら落ち込むっていうか、自分が嫌いになるっていうか……」
「へぇ……大変なバイトやってんだなぁ……でも何でそんなバイト続けるの?」
なんで……あたしは返答に窮した。
考えたこともなかった……そういや何であたしこんなこと続けてんだろ……
結城先輩への気持ちの上での復讐?サチと仲良くしていくため?お金のため?どうしょう、何て答えよう……
「あぁ、いいよ。無理に答えなくても。」
あたしの心情を察してか、先生がすぐに声をかけてくれた。
「あ、うん……今までそんなこと考えたこともなくて……」
「うんうん、よくあるよ。何かに没頭し過ぎてなぜそれをやっているか忘れることは。ま、何にせよあんまり抱え込まないことが大切だね。」
そう言った先生の目は優しくあたしを見つめていた。
あぁ、男の人にこんなにも優しい目で見られるのってどれくらいぶりだろう……あたしの口でイった人達はギラギラした目であたしを眺め回し、下心のこもった笑顔であたしと別れていった。親とも、ろくに目を合わせないようになった……。高校の先生だっていつもあたし達の顔色を伺っているだけ。
そんな想いを巡らせながらあたしは聞き返す。
「抱え込まないって?」
「あぁ……島川さん、小学生の時、自分が言いたいことはあまり言えなかったでしょ?」
「うん……まぁ今でもそだよ。」
「だから、きっと今バイトがちょっとしんどいんだ、てこともあまり周りに言ってないんじゃないかな、て。」
さすが先生……まぁ、バイト内容がフェラってことで言えないってのもあるけど。
「うん、そだね。まぁ、今日先生が聞いてくれたし。」
「確かにそうだ。僕もいつでも聞くよ。」
「うん、ありがとう。」



それから他愛のない話をしばらく続けた後、あたし達は喫茶店を後にした。
「先生、今日はたくさん話を聞いてくれてありがとう。」
「あぁ、気をつけて帰りなよ。」
「うん。」
先生と別れ、背を向けて歩き出す。
その途端に、あたしの意思とは無関係に涙が溢れ出した。今別れたばかりなのにもう先生に会いたい……もっとたくさん話がしたい……でもそんなこと言えない……
胸がドキドキして苦しい……視界もぼやける。ヤバいこのままじゃ歩けない。
あたしは慌てて公衆トイレに駆け込んだ。
こんなときどうしたらいいの?あたしはトイレの中からSOSメールを送った。
『苦しいよ、助けて……』
助けて、サチ……。
こんなときにあたしを助けてくれるのはサチしか考えられなかった。



<10.決断>
「美樹、はっきり言うよ!」
「う、うん……」
さっきまで先生と話していた喫茶店に、今度はあたしとサチ二人。店内は少し混んでいて、偶然にもさっきと同じ席。さっきまで先生がいた席にサチが座っていて、真剣な眼差しであたしを見つめている。
「あんたは……」
「うん……」
「もうあたしと一緒にエン(援助交際)しちゃダメだ。」
「えっ……」
思いがけない言葉。確かに、あたしは正直このバイトに対する気持ちが揺らいでいる。だけど、これを無くしたらサチとの仲も悪くなりそうな気がして……それも怖い……
そんなことを考えていると、急にサチの顔が近づいてきた。


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