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「集結する者たち」
【ファンタジー その他小説】

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「集結する者たち其の三〜フレイン・ラルト〜」-1

彼女の言葉を聞こうとした時、そこにフレイン・ラルトは居なかった。
彼女の言葉を聞きたかったはずなのに、フレインは居なかった。いや、正確には、消えた。
より正確には、消された。その世界より。
今、彼が居るここは、鷹須賀崎県鷹須賀崎市、田江町四丁目の角……。



少年が走っていた。
それはフレインの目にすぐに留まった。ツンツンとした髪の毛で、茶の混じった黒髪だ。年の頃は同じぐらいだが、自分の白髪とは大分違うな、と思った。服装はフレインにはよく理解出来ない、と言うか、見た事もないものだった。
その少年は血走った目で走っている。まるで命を狙う何者かから逃げるかのように。
「待てぇ!待たねえと殺すぜ!?」
物騒な事を言いながら少年を追いかけている男は、金髪に隻眼、右耳に赤のピアス、薄地の半袖という、フレインには少し馴染みのある格好をしていた。
が、殺気は常人のそれとはまったく違う。本気で少年を殺すつもりだ。
ならば、とフレインは動く。マントを揺らめかせ、腰に帯刀していた剣を抜いた。少年がフレインの横を通る時、あからさまに妙な顔をしたが、敢えて無視する。そのまま走るのをやめたようで、今はフレインの後ろに居た。
「ん?」
ピアスの男は止まった。そしてフレインを見て、
「はっ!テメエまで現れたか」
と、よく分からない事を言うと、
男はどこからか剣を出し、フレインに向かって疾走した。
「オラァッ!」
その手の剣を横に振り、フレインを斬ろうとする。
だが、フレインはそれを己の剣で受け止めた。反撃に転じる。
が、
「切波!」
男がそう言うと、剣からなにかが出てきた。透明ななにか。
その透明ななにかは、フレインを剣ごと吹っ飛ばした。
「うわっ!」
短く悲鳴をあげながらも、身体を捻り、回転して着地する。少年が後ろで目をしばたたいていた。
(こっちも全力で相手をしなくちゃいけないみたいだな)
心中で呟き、フレインは剣を構える。チャキ、と軽く音がした。
男はにやけながらまた向かってきた。
フレインは動かない。剣を構えたまま、静かにその時を待っていた。
そして、目の前に男が迫り、剣を振り上げた時、
「……ブレイズ」
フレインは、短く呟いた。
その瞬間、フレインの手から炎がほとばしった。
それはすぐに男を包み、燃え盛った。
「ぐぁあぁああぁああぁ!!」
灼熱の熱さに悲痛な声で叫ぶ男。
少年はただ、後ろで呆然とするだけだった。
炎がおさまる頃、男は完全に消し炭と化していた。
「……ふう」
溜め息に近いフレインのそれ。急な戦闘だったのだ。詮ない事である。
「あの……」
途端、少年が話しかけてくる。フレインは振り向いて、まずは自己紹介かな、と名乗る事にした。
「あ、僕はフレイン。フレイン・ラルトだ」
「あ、えと、僕は榛原陽介。その、助けてくれてありがとう」
少年は陽介と言うらしい。聞いた事もない名前だった。記憶にないとかそういった意味ではない。単純に聞かないような名前だったのだ。それは向こうも同じだったらしく、小首を傾げていた。
「ヨースケ、だね。じゃあ、ちょっとここがどこだか教えてくれない?」
とりあえず場所を知りたい。
フレインがそう訊くと、
「ここは高浜市だよ」
陽介は簡潔に答えた。
やはり聞き覚えのない名。フレインは混乱してきた。


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