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君を好きになりました。
【純愛 恋愛小説】

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君の側にいたいです。-1

―ああ〜…ナゼ彼女に会えないんだ…
俺は高山健吾(たかやま けんご)一週間前、運命の出会いをした。
留年した俺が、学校を辞めようと決意した帰りだった…
あの澄んだ、迷いのない彼女の声が俺の耳から離れない…
そのドキドキする声で俺を真っ直ぐ見据えて言ったから、俺は金髪をやめて(ついでに短く切って)、全てのピアスを取り外した。
学校の友達には不評だけど、そんなことはどうでもいい!!彼女が俺を見てくれれば…
―しかーし!!何で会えないんだ…隣の駅から乗るのは間違いない。そのために俺はこの一週間毎日学校に行って、毎日最後まで授業に出てるんだ。…会いたいな〜…次の駅で乗るのは間違いないんだよな〜…
―!!そうだ、俺が降りればいいじゃん!!うわっ俺っちマジ頭良くね?やばっ
俺、駅に着くアナウンスが流れると一番のりで飛び降りた。改札を出て、たった一駅隣なのに雰囲気の違いにビックリした。きれいな煉瓦道に煉瓦づくりの花壇の中には色とりどりの花が咲いている。ちらほら見える彼女と同じ学校の制服。
―…会えたら名前…聞かなきゃな…
俺、煉瓦の道を前にして、なんとなく入ってったらいけないような…汚してしまいそうな…壊してしまいそうな…ただぼうっとつっ立ってるだけだった。
―………
彼女と同じ学校の子たちの笑い声を遠くに感じながら、ふっと昔のことを思い出した。
小学校の頃のこと…廊下にはられてる絵…好きな子が描いたもので…その絵がきれいで…俺は、触れたかっただけなんだ…もっと近くで見たかっただけなんだ…押しピンを外した瞬間、開いていた窓からヒラリと飛んでいった。前の晩に雨が降っていて、外はぬかるんでいて、俺、追いかけたんだ。あんなきれいな絵を汚したくなかったから…けど、追いついたときには遅かった。絵はみずたまりの中で、きれいだった色がにじんで混ざり合って…その後のことはよく覚えてなくて、ただその子が黙って涙を流す姿とごめんの一言がどうしてもいえない自分がよみがえってくるだけ…
「いい加減にして下さい!!」
―!!え!?いやっ俺なにも…あれ?
我にかえった俺、間違いない。彼女の声だった。あの澄んだ迷いのない声。俺が聞き違えるはずがない。
「離して下さい!!」
俺、声の方へ駆けだした。
彼女は友達と二人、その前には二人の男が立ちふさがっていた。よく見るとそのうちの一人が彼女の腕をつかんでいる。
―あいつっ!!
俺、頭に血がのぼっていくのが分かった。その男に駆け寄ると彼女の腕を掴んでいる腕を殴り、腹を蹴飛ばした。
「てめーなにすんだよ!!」
その男、素早く立ち上がり俺の顔を殴りつけた。
「きゃーー」
彼女と一緒にいた友達が叫ぶ声にざわざわと人が集まってくる。
俺、口の中に広がる血の味を感じながらもう一度その男の腹を蹴飛ばした。
「うっ…」
倒れ込んだその男にもう一人の男が駆け寄り、抱えあげながら言った。
「おい、やべーよこいつダブリの高山だよ」
よく見るとそいつら俺と同じ学校の制服を着ていた。
―同じ学校の…
逃げていく二人の姿を見送りながら、ざわざわと集まった奴等を見、おそるおそる彼女の方に目を向けた。彼女は乱れた制服をはたき、隣にいた彼女の友達はまだ震えている。
―…………
また汚してしまったように感じた。だって周りから見れば同じなんだ。彼女に言い寄ってた男たちも俺も…
彼女の目からも…
俺、彼女に背を向けた。
「待って」
―え?
俺、彼女の声に驚いて振り向いた。
「血が出てる」
彼女の手にきれいなハンカチが見えた。
「いらねーよ」
―汚れるから…
だけど、彼女はおかまいなしに俺の口元にそのハンカチを押しつけた。
「いっ…て…」
そのハンカチからいい匂いがした。
「助けてくれてありがとう」
―!!えっ…あ…
初めて見る彼女の笑顔に俺、涙が出そうになった。
「べつに…」
俺、彼女の手からハンカチを引き抜くと足早に駅へ向かった。
―…やべっ…まじ、涙でそ…
俺、電車に飛び乗るとハンカチをそっと鼻にあてた。
いい香りが広がって、その香りと一緒に彼女の笑顔が蘇ってくる。
―あっっ!!名前!!あ〜〜〜っ俺ばかじゃんっまじばかっなんっで聞かないかな〜……
彼女の駅から遠ざかる電車の音がえらく大きく聞こえ、俺の中の後悔の渦も大きくなっていった。



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