投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Blackmail
【その他 官能小説】

Blackmailの最初へ Blackmail 24 Blackmail 26 Blackmailの最後へ

Black mailU-11

「君という女を過小評価していたようだ……」

 そう言って髪の毛を撫でつける。

「…ひとつ君に聞きたいのだが…」

「…?…」

「ヤマト証券はどうなる?」

 飯島の問いかけに、恭香は真剣な表情で言った。

「おそらく…貴方の考えている通りだと…」

「…そうか…」

 そう言った飯島の顔は、どこか寂しげだった。




───


 ひと月後。 裁判にて飯島に執行猶予付の実刑判決が下った。
 途端にヤマト証券の株価は、坂道を転がるように暴落し始めた。 もはや1点を除き、誰にも会社を救う事は出来なくなってしまった。

 やがて、かつてのライバル会社スター証券から業務提携を打診して来たのだが、これはヤマト証券の吸収合併を意味し、事実上の倒産を意味していた。

 こうして飯島がつくろうとした〈帝国〉は地上から消滅した。

 恭香の復讐のひとつは完結した。 彼女は次の1手を打った。




───


 ヤマト証券が吸収合併されて 2月あまりが経った。 自主退職や依願退職を含めて、かつてのヤマト証券の社員は半分に減らされていた。

 岡野も同様に事業本部長から営業部長へと降格させられ、そのうえスター証券の社員に囲まれてきゅうにゅうとしていた。
 しかし、身のふり方を考えようにもアテなどあろうハズも無く、仕方なく針のムシロのような生活でもと続けていたところだった。

 そんな彼に1本の連絡が入った。

「私、JP・モ〇ガン社。 日本支社社長秘書の田神と申しますが…」

(JP・モ〇ガンって世界最大の証券会社じゃ… )

 岡野の中で、冷静な思考力が欠落していた。

「どう言ったご用件でしょうか?」

「単刀直入に。 あなたがヤマト証券で培われた経験を、わが社に売って欲しいのですが?」

「意味が解りかねますが…」

 田神はクスッと笑うと、

「ではもう少し具体的に…スター証券を辞めてウチに来てもらいたいんです」

(これが噂に聞いたヘッド・ハンティングか…まだまだ、オレにもチャンスが…… )

「もしもし?聞こえてます?岡野さん」

 すっかり自分の世界に入っていた岡野を、田神の声が現実に戻した。


Blackmailの最初へ Blackmail 24 Blackmail 26 Blackmailの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前